INNOCENT SOULⅢ ~闇に在りて導く者~

~darkness & death angel~

 ─────暗闇。
 死魔が嫌うといわれる香煙の匂いと、背を向けて座している筈の師が詠唱する呪文の響き。それだけが、いまクリスの感覚からもたらされる全てだった 師…魔法司レクサール=セレンの前に横たえられる、死に瀕した童女。野原で遊んでいて、蛇に咬まれたのだという。
 師は野の精霊に問うて咬んだ蛇の種類を同定し、古代魔法が伝える秘薬を童女に与えた。さらにそれが奏功するかどうかは今夜が峠と診て、死魔を遠ざける呪法を行っているのだった。
 死の気配を死魔に悟られれば、死魔がやってくる。死魔の訪いを受けてしまったら、もはや魔法司である師といえど手の施しようがない。
 童女が快方へ向かうまで、童女をを包む死の気配を結界で封じる。あくまでも本人が快方へ向かわねばただの時間稼ぎでしかない呪法。しかし幸いにして童女はまだ死魔に見つかってはいない。師はやるだけの価値ありとして、クリスを助手にこの呪法に入ったのだった。
 《死魔》…命を失った身体から魂を引き出し、天へ導く存在である。
 本来異界に属すものであり、その姿は人間には見えない。あるレベル以上の魔術者はその訪れを羽音として聞くことができる。だがいかに高位の魔術者の、いかに強力な呪法でも、死魔を完全に退けることはできない。
 しかし、「命数が尽きた」の一言で納得できる者などいない。今日、童女を担ぎこんだ母親のように、どんな方法でもよいから娘を助けてくれ、と懇願してくる。
 宮廷を追われたとはいえ、人間として最高位の魔術者であるレクサールのもとに人々が病人や怪我人を運んでくることはさほど珍しいことではない。無論、助かる者も助からない者もいるのだが、彼らを運んでくる者たち──両親、息子、良人───の態度はクリスを苛立たせた。
 彼らは、魔術を誤解している。
 それは無理もないことなのだ。魔術者でさえ、修行の至らぬうちは錯覚する者もいる。魔術が、全てを解決しうると。
『どうかこの子を助けて…! 要り用なものはすべてそろえます。どんな方法でもいい、この子を死魔から救ってください…』
 そんな言葉を聞くたびに、クリスは無理もないとは知りつつ、嫌気を通り越して悪寒がするのだ。
 どんな方法でも良いか。それならクリスにとてできる。
 かつて、蘇生呪文という邪法がまかりとおった時代があった。死した身体に、魂を呼び戻す呪法。高位の魔術者、賢者のみが行えると言われ、人々は愛する人を死から救おうとこの呪法を行わせた。
 だがその傲慢の結果は大量の不死者アンデッド。人々は泣く泣く愛した人々の身体を…泣き叫ぶ遺骸を焼き捨てねばならなかった。
 ──────魔術にも限界がある。人の命だけはどうしようもない。うまれ、生きて、死ぬ。長くても短くてもそれがこの世界に存在する者の本来の姿。それに逆らうことは、この世界に存在する以上は不可能なのだ。
 たったそれだけのことが理解ればよいのだ。だが、人間はたったそれだけのことを理解するために、長い年月を必要とする。
 しかしそれは今、クリスの逡巡の出発点でしかない。

◇*◆*◇

existance that opposes laws of nature

 神殿の庭。かつては噴水であったと思しき場所も、今はただ割れかけた水盤を濡らし続ける湧き水でしかない。
形よく刈り込まれていた筈の樹木はその生命力のままに生い茂り、崩れかけた四阿あずまやの石柱をへし折らんばかりの勢いで蔦が絡みつく。
 しかしそこは、一種の舞台のような趣を持っていた。
 観客は三人。レクサールと、友人であるユートラップ騎士団長カーツ。そしてナイジェル。
 舞台に上がるのはふたり。クリスと、魔法においても武術においても相弟子であるパラーシャ。緑陰を渡る風は涼しいとは言え、この炎天下にお互いに一本も入れさせないまま剣をぶつけあうこと数十合。
 二人ともすでに玉のような汗を浮かべていたが、並の人間なら倒れても不思議はない。
「つくづく思うんだが…おまえ、剣術指南役でも食っていけたんじゃないか?」
 緑の舞台から一瞬たりとも目を離さず、カーツが言った。
「何の、私が教えたのは基礎中の基礎だけだ。あとは彼ら独自の展開だからな。もう、あの二人には勝てんよ」
「青は藍より出でて…ってやつかい?」
「ま、ちょっと悔しいがね。…それにしても、二人ともこの暑さの所為か妙に過熱してるなぁ。怪我人が出ないうちにそろそろケリにしないと…!」
 レクサールが腰をあげかけた時だった。
 クリスの打ち込みを受けて立ったパラーシャの剣が、強烈な一撃をしのぎきった直後に刀身の中程から砕けたのだ。
 ナイジェルが声にならない悲鳴をあげ、弾かれたように立ち上がる。
 さすがのカーツも思わず腰を浮かせた。
 破片は鋭く回転しながら弾け飛び、クリスの右耳に唸りをのこして後方の古木に突き刺さる。
 ──────パラーシャが折れた剣をおいて敗者の礼をとったとき、ようやく凍った空気が動き出した。
「二人とも、怪我はないか」
「はい」
「Yes,Lexal」
「よかった。今日はこれでお開きということにしようか。さ、陰へ入ろう。暑くなってきた」
 レクサールが表情が緩めてそう言った。だが、いかにも事もなげな口調にクリスの目が一瞬だけ激しく閃く。ナイジェルやカーツも意外そうな顔を隠せない。

◇◆◇

「良かったのか、あれでおさめてしまって」
 夕刻。カーツは、テラスまで見送りに出たレクサールにそう問わずにはいられなかった。
「…なんのことかな」
とぼけてる場合じゃない。習練用の剣とは言え、剣が折れるほどの力で打ち込んだら普通、骨が砕けるぞ。おまえの弟子が高レベルなのは理解ったが、おまえいつもあんな危なっかしい試合をさせているのか!?」
「…んな訳ないだろうが」
 頭髪をかき回して吐息する。先刻は微塵も見せなかった翳りがその表情を覆っていた。
「わかっている。クリスは明らかに殺気を込めて打ち込んだ。だがパラーシャもそれに気が付いていながら、敢えて黙っている」
「あまり仲が良くないのか、あのふたり」
「んー…そうといえばそうだし、そうでないといえばそうでないし…」
「ええい、まだるっこしい」
「そう言うな。…私とてどうしたものかと思案している最中なんだ。時が来れば話す。………あるいはおまえさんに迷惑をかけることになるかもしれないんでな」
 ぼそりとつぶやいた科白。こともなげな一言だったが、カーツをぎょっとさせるには十分だった。

◇◆◇

 陽はとうに落ち、十六夜の月が庭を照らしている。
 クリスは昼間、試合が決着した場所に立っていた。月が明るい所為で、足跡が僅かに追える。パラーシャが敗者の礼をとって剣をおいた場所を、クリスは射るように見つめていた。
 意図的に靴先でかき消された、二点の紅。…間違いなく、血痕だった。折れた剣を置いてとっさに隠し、そのあと靴先でかき消したのだ。
「…何様なにさまのつもりだ…!」
 低いつぶやきは、激烈な憤怒でなく、遣る瀬なさすら伴う苛立ちをのせていた。

◇◆◇

 赤黒い雫が、操作卓コンソールパネルにグロテスクな紋様を描く。たちどころにかん高いエラー音が響いた。
「……」
 パラーシャは一旦操作卓の電源を落とした。操作卓に浮かび上がっていたたくさんの釦は一瞬で消えうせ、あとには血糊のついた平坦な板だけがのこる。
 顔色ひとつ変えるでなく、無造作に汚点しみを拭う。そのとき、パラーシャの後ろで何の前触れもなく扉が開いた。
 汚点のついた布を隠す暇もない。それを手にしたまま、向き直った。…誰なのかは、大体推測がつく…。
「何か…? クリス」
「……」
 クリスは何も言わずにつかつかと近づき、パラーシャの左手を掴んで捩り上げた。
「…何だ、これは?」
 掌を横切る刀創。殆ど塞がりかけていたが、新たな血が溢れていた。
「…何故あんな真似をした!?」
 剣が折れた一瞬。パラーシャは素手で切っ先の軌道を変えた。そのまま飛んでいればクリスの右目を抉ったかも知れぬ切っ先。
「あなたに傷を負わせる訳にはいきません。クリス」
「…自分が傷を負ってもか。おまえを殺す者でも、おまえは守るのか!?」
「私はオペレーションドールです。レグナンツァ・マイスターとレグナンツァーの護衛は私の役目。…あなたが私を抹消しようとしたとしても、あなたがレグナンツァーの資格を喪失しない限り、私はあなたを守ります」
「…矛盾している」
「…矛盾はしません。私はシステムではなく、<システムと人を繋ぐ者インターフェイス>。継承者が私を必要ないとするなら、私は活動を停止します。
 しかしその決定権はあなたではなく、レグナンツァ・マイスターであるレクサールにある…だから私はこうして活動しているし、従容としてあなたに殺されるわけにもいかないのです。ご理解いただけますか」
「…活動を停止…とは、死ではないのか。死が恐ろしくはないのか」
「人間ではないドールズに死の概念はありません。だからおそれることもない」「…どうかしている…」
 もはや疲れ果てたように、クリスはそう言ってパラーシャの手を放した。
「…それをおぞましいとは思わないのか」
 呟きか、問いか。判然としない口調だった。だが、パラーシャは応えた。
「クリス…あなたの認識は正しいと思います」
 顔を上げたクリスの目に、表情を消したパラーシャの顔が映る。
「…しかし私は、自らの存在を否定するわけにはいかないのです」

◇◆◇

 緊迫した空気に部屋に入りそびれたレクサールは、仕方なく月下のテラスで竪琴の調弦をしていた。日中こそ暑いが、夜ともなればユートラップの短い秋の気配が森を覆う。
 高く澄んだ弦の音を聞きつつ、瞑目して螺子にかけた指に僅かに力を入れた。「このままでよい訳がないんだがな…」
 僅かに音が下がる。…下げ過ぎた。
 クリスは、古代魔法の技術に不安を感じている。いや、不安などという生半可なものではない。…あからさまな、不信。ドールズのシステムだけに限っても、古代魔法の時代を創った人々が命というものをどう考えていたか、レクサールとて推し量るのもおぞましい。
 出生以前の制御。…命の制御コントロール
 機械システムの一部分としての生命システム。ドールズ機構はまさに生命を弄ぶものだ。生命すら制御できると思い上がった者たちの…うまれ、生きて、死んでゆく生命を嘲笑する者たちの所業…。
 古代魔法の世紀、人はいまよりはるかに死に怯えることは少なかったであろう。低い乳児死亡率、80歳をこえる平均寿命。あらゆる感染症に対抗する薬剤、成功率の高い外科技術…。
 それは夢だ。今この痩せた世界で、人々が最も望むもののひとつであるに違いない。
 しかし、その技術の行く先がドールズシステムだった。
『…あなたは本当に、今の世に古代魔法が必要とお思いなのですか…?』
 実際、よくできた弟子だ。…痛すぎるところをついてくる。そしてまた、あれで未だに自分が何者であるのか気づいていないのだから、なお恐ろしいものがある。
『だが、現実に古代魔法の伝える技術がいくつかの命を救っている』
 それが言い訳にすぎないことくらい、レクサールは心得ていた。…だが。
「…!」
 耳障りなほど高くしてしまったのに気づいて、緩める。どうやら、最初からやり直しだ。
 ─────クリスは正しい。だが、正論だけで世の中が片付いたら、人々の語彙から自殺という言葉は消え去るだろう。
 パラーシャは機械ではない。たとえシステムに繋がれた存在だとしても、血の通った…人間だ。

◇◆◇

「…夜風に涼を求める季節でもないでしょう。お入りください」
 半分目を閉じて竪琴を爪弾いていたレクサールは、こころもち瞼をあげて言った。
「…パラーシャ?」
「はい」
「…おいで」
 言われるままにテラスへでて、レクサールの椅子の側に立ったパラーシャの表情は、呼んだレクサールの胸を痛ませるほどに透明だった。
 だから、何も言わず傍らの鉢植えから一枚の葉を取り、パラーシャの左手へあてた。薄緑の葉は短い呪文で淡く発光して消え、その左手に残る治癒しきらない傷痕を跡形もなく消し去った。
 パラーシャが慌てて手を引く間もない、素早い動作だった。そして、何を言おうとしてか口を開いたパラーシャを手をあげて制す。
「君自身に対する治癒魔法が効きにくいのは理解っているが、だからといって放っておくのは良くないな。傷の治療一つに意地を張るものじゃないよ」
 殊更に軽い調子で、レクサールは笑った。傷自体については何一つ言及しない。今一番辛い立場にあるのが彼女だと、レクサールにはよく理解っていたからだ。
 しかしその責任が彼の態度にある以上、そんなことが贖罪になるわけでは、決してないのだけれど・・・・。
 パラーシャは目を伏せ、短く答えた。
「Yes, Lexal」
「心配をかけたね。確かに、もう涼しいという風じゃないな。…入ろうか」
 そう言って、立ち上がる。しかし、その動作は彼女の次の言葉で凍りついた。
「…あなたが望むなら、システムの稼働を停止させ、私は活動を停止します。私の任務はシステムの保存と危険な運用の防止であって、システムの運用を推進することではありません」
 かろうじて言語の体裁を保ちうる、最低限の抑揚しか持たぬ言葉だった。「・・・・・・・私はそんなことはしたくないよ、パラーシャ」
 凍てついた表情は一瞬で砕かれたが、残された笑みはどこかいつもの軽快さを欠いていた。
「レクサール…」
「…カーツの言じゃないが…本当に、皆が幸せになれる魔法があればいいのになぁ…」
 人間として行使できる、全ての魔法を極めた者の科白ではなかった。正直な戸惑いをのせたまなざしを、レクサールはパラーシャの肩を抱くことではぐらかし、屋内へ入った。

◇*◆*◇

darkness & brightness

「…クリス、ご苦労様」
 レクサールの声に、クリスは我に返った。
「何とか、持ちこたえたよ。あとは静かに休ませればいい」
「はい…では、外の家族に知らせましょう」
 この部屋の外では童女の家族がまんじりともせず待っているのだ。クリスは立ちあがり、重い扉に手をかけた。
「…と、クリス?」
 呼び止められ、クリスは振り返った。
 レクサールは小さな天窓を開け、黎明の光を呼び入れていた。完全に光を遮断した室内に、鋭角的な光条が差し込む。
「…何が見える?」
 そう言って、悪戯っぽい笑みをする。いつもの謎掛けだ。
 クリスは少し考えて、言った。
「…光が。光が見えます」
「That’s right…」
 師は満足そうに笑み、クリスが手をかけていた扉を押し開けた。
「…今度は?」
 今度こそ、クリスは答えに窮した。開け放たれた扉。昇り始めた陽の光が、薄暗かった部屋を満たす。
「……」
 答えを返せないまま、立ち尽くす。その静寂を、悲鳴に近い声が遮った。
「魔法司どの、娘は!!」
 クリスを押しのけ、レクサールに掴みかからんばかりの勢いで童女の父親が詰め寄る。レクサールはいつもの笑みでそれを受け流した。
「もう大丈夫ですよ。さ、行ってあげてください。気が付くにはもう少しかかりますが…」
 礼もそこそこに家族が部屋の中へ殺到してしまうと、レクサールは言った。

「じゃあクリス、これは宿題ということにしておこうか」

◇◆◇

「魔術者が自らの魔術に失敗して命を失うことを、慣用的な比喩としてヴァルシスの制裁と呼ぶ。力の濫用を諌め、正しい方向に導く。それが闇神ヴァルシスの魔術の神としての姿だからだ。
 …無限に力を与えようとするレクサスに対し、ヴァルシスは常に人に迷いを与える。ただ方向を示すことはせず、いくつもの選択肢をあたえて人を悩ませる。
 それを闇の誘惑ととる学者もいるが、それは違うと私は思う。闇神ヴァルシスは、人がおのれの選択によってのみ前へ進むことをよしとする…」
 師の言葉を一言半句聞き漏らさずに筆記しながら、クリスは先日来の「宿題」について考えていた。
 ─────闇の中の光。
 いかなる日差しをも拒む厚い壁の内に、一条だけ差し込む光。
 開け放たれた扉。光に満たされた光景。しかしそこには…。
「…ここまでにしておこう、クリス」
「あ、はい」
 クリスは筆を置き、原稿を束ねた。
「また読み返すから、そのまま置いといてくれるかな」
 自称「大陸一、文字に不自由している魔術者」と自慢にならない豪語をする師匠は、魔術の著作をする際、殆ど口述してクリスに筆記させている。希代の魔術者は、また希代の悪筆でもあった。
「…クリス、例の宿題だが…結論を急がないことだよ。クリスになら、いつか理解る。さしむき今日は寄り道せずに早めに家にかえってごらん。良い知らせがあるかもしれないよ?」
「…はい…?」
 クリスは怪訝な顔をしたが、そのまま退出する。
 レクサールはそれを見送り、原稿を手に取った。
「…停滞した時間は流れ始める。良きにつけ、悪きにつけ…。裁かれるのは誰だ。過ぎた力を行使し、時代の流れを歪めるもの…私か…?」

◇◆◇

 そしてその日、帰宅したクリスを待っていたのは、主席書記官補佐への昇進の内示だった。
 上級書記官という役職は、暇ではないにしろそれなりに時間の融通がきいた。だが、首席書記官補佐となるとそうも行かぬ。結局クリスは、その日を境に北の神殿とは完全に没交渉となっていた。

*******◇◆◇*******
protector in the dark,leader of the dark

 闇と静謐のなかに佇み、クリスはその一点を凝視していた。
 先刻、寝もうと灯火を消した直後に気づいた。闇の一点に、闇よりも深い闇がある。
 妖魔精霊の類いの気配は感じられない。だが、何かがそこに在る。
 身じろぎもせず、クリスはそこをみつめていた。闇が凝縮してゆく。それが形を取ってゆく。これは…。
 ───────剣、だ。
 クリスは数歩あゆみより、柄に手をかけた。
「…そういうことか」
 伝わる。物静かなつくりに擬せられた、凄まじいまでの力。
 ─────破霊剣・ヴァルツシーガー!
 輝神剣ルクシードと対をなし、闇神ヴァルシスの意志を示す剣。自分の属性が、強く闇に傾いていることは知っていた。だが、破霊剣の所有者として認められるほどであるとは…。
 破霊剣が、自分に何を望んでいるのか、クリスはなぜか知っていた。理解したのではない。その瞬間に、知っている自分に気づいたのだ。

 ────────クリスは、剣を抜いた。

光に対する闇

2019.8.26

 そう長い話でもないのに初回の脱稿が1996.9.5というから2ヶ月くらいはかかったのですね。損な役回り、という言葉を具現したかのよーなクーンツのご先祖、クリスのお話。レクサールを尊敬しつつも、決定的な部分で相容れない。そのことに苦しんでいるのを、レクサールもまた気づいている…。
 今にして思えば、結構ドロドロなお話を書いていたものです。