満1歳を迎えると、それなりに自己主張が出てくるという話は前項でも触れたが、今回はそれにまつわる(かもしれない)話。
 我が家におけるウィークデイの帰宅は、6時きっかりの母をトップに30分ばかり遅れて柳(+みっちゃん)、さらに1~2時間遅れて旦那という順番である。この1~2時間の間に柳はみっちゃんと自分の風呂を済ませ、母屋で夕食をたかるついでにみっちゃんのお傅を頼んで旦那の夕食を支度するというハードスケジュールをこなすわけだが、無論旦那の帰りが早いときには夕食の準備を2.5人前にして一緒に食べることもある。その場合、みっちゃんにはお風呂からあがってしばらくダイニングで待ってもらうことになるのだが、普段は椅子に座らせればちゃんと待ってくれる。

 しかし、その日は違った。
 おとなしく椅子に座ったまでは良いが、いざ柳が支度にかかると火がついたように泣き出したのだ!
 とりあえず、怪我を疑った。リクライニングの椅子だから、起こした時にどこか挟んだか。・・・Noだ(<大体、それなら挟んだ瞬間に泣き出す)。では虫にでも刺されたか。・・・これもNo。腹が減ったような泣き方でもないのだが、とりあえず乳を含ませてみる。大抵はこれでカタがつくのだが、これもNo。それなりに腹も減っている頃合なのに、乳に反応しないというのは既にしておかしい。とにかく泣き方が尋常でないのに危機感を煽られた柳はみっちゃんを担いで母屋、ばあちゃんズのもとへ走った。
 「みっちゃんがおかしい!」
 母は柳の疑ったようなことをひととおり尋ね、代わるがわる宥めてくれた。すこし落ち着いたところへもってきて、すかさずヨーグルトの匙を差し出すと・・・・食べた。与えたら与えただけ食べ、機嫌もケロっとなおっている。

柳:「・・・何なんだ、一体」

母:「わかんないけど、とりあえずみっちゃんはこっちで食べさせるから、食事しといで」

 ばあちゃんズ、強し。

 結局みっちゃんは夕食をばあちゃんズのもとでご馳走になり、ご満悦での帰還を果たしたわけだが、謎なのは大泣きの理由である。
 「いつもは風呂上がってすぐばあちゃんズのところで食事にありついてる訳だろ? 『お風呂上がったのにお食事につれてってもらえない!』とか思ったんじゃないかな」・・・というのはみっちゃんとの夕食がお流れになってちょっと残念だった旦那の弁。そんな阿呆な・・・といいかけて、あまりにも符合するので思わず唸ってしまった柳である。
 そうだとしたら、これが済んだらこれ、という習慣もしくは時間的観念を身につけつつあるということになる。お乳に反応しなかったのは、食事との区別がつき始めているからとも考えられるのだ。
 そんなことがあってから、みっちゃんの食事の準備ができてからお風呂に入れるようになった。爾来、謎の大泣き事件は起きていない。本人が未だ「まんま!」と「だぁ!」ぐらいしか言えない身の上では真相は謎のままだが、主張といえば生理的欲求だけだった時代は終わりを告げているのだと痛感した一件であった。