今月後半、柳はようやく産休に入ったが、ここまでが既にして平坦な道程ではなかった。
 みっちゃんの時に比べれば、貧血でしこたま鉄剤を飲まされるという事態は避けられたものの、妊娠後半(28W)に子宮頸管長(<子宮出口が閉じている長さ)が2.4cmという事態に陥った。「2.5cmを割り込むと入院安静なんだけどねえ~」と脅かされ(<要するに切迫早産)、「おとなしくしてますから入院だけはご勘弁」と平伏して診断書をもらい、自宅療養にあい努める次第となった。家事は駄目、みっちゃんを抱き上げるのも駄目、とにかく横になって安静というのも、3日を過ぎればほぼ拷問に近い。手持ちの本を片っ端から読みかえすのも限界に達したころ、ようやく通常の生活の許可が下りた。

 やれやれと思ったのも束の間、産道の細菌検査で溶連菌(<B群溶血性連鎖球菌、いわゆるGBS)なんぞが見つかってしまい、抗生剤のお世話になる羽目になる。いわゆる常在菌だから柳自身は完全に無症状なのだが、出産時うっかり新生児に感染した場合に致死性が高いため、出産までには駆逐しておかねばならない。切迫の間に飲んだ子宮収縮を抑制する薬とあわせて、みっちゃんのときよりも薬代が膨らんだ格好である。しかし、出産が命がけの大仕事であった時代(<衛生状態が悪かったり、妊婦の栄養状態も思わしくなかった時代は、女性・新生児が出産の前後に死亡することは決して珍しくはなかった。今だって絶無ではなかろうが)を思えば、獲得されてきた安全(<というか安心)はこういったあらゆるリスクを想定し排除していくことで支えられているのだろう。この際文句を言ってはバチがあたろうというものである。

 話をみっちゃんに戻そう。
 「子供を抱き上げたりも駄目」と言われた以上、自宅にいるからといってみっちゃんを手許に置くわけにも行かない。そんなわけで、みっちゃんはいつもどおり旦那とともに出勤し、旦那の実家で日中を過ごしている。まあ、柳が出勤している間とパターンは異ならない(<お迎えも旦那に頼むので帰宅時間が遅くなるが)ので、みっちゃん自身は飄々としたものである。「お兄ちゃんになるんだよ、どうするぅ~?」と言ってみても、今のところ何が何やらサッパリ状態らしい(<当たり前だ)。さて、柳が入院した時はどうなるのだろう。とりあえずばあちゃんズがいるのでどうにかなるだろうと楽観してはいるが・・・