EVAの完結編もどうやら1月公開が決まって新たな動画が上がってましたね。外出先のちょっとした隙間で携帯に目を走らせていてその記事を見つけ、

「ホントだな!ホントにやるんだな!?」

 と思わずケータイ相手に凄んでしまった柳でありました(誰かに見られてたらさぞかし変な奴と思われたでありましょう…)。いや、そのくらい待ったんですってば。新劇場版の「序」が公開になった年に生まれた末っ子が得意気に「これ作ったの!」と親指サイズのレイちゃんビーズストラップ1を見せてくれるような年頃になったのですよ。
 「エヴァの映画パンフ見せて♪」というから何を企んでるのかと思いきや…。レシピがあったのか聞いてみると、「ん、特にない」とのこと。今までの蓄積からアレンジで作ったのでしょう。相変わらず器用なことです。そこですかさずこっそり「髪と目の色変えればいろんなバージョンが作れるね?」と唆す柳。資料要るなら探したげるよ~とさり気なく某写真集2をちらつかせるのでした。娘よ、大きな声では言えませんがおかーちゃんのヒミツの抽斗にはまだ色々あるぞ♪大丈夫、アヤシくないのもちゃんとあるから。

 莫迦話はさておくとして。

 Go To TravelだのGo To Eatだの、経済復興に向けて関係各所の皆様が涙ぐましい努力をされる中、不心得者の所為で取り組みそのものが散々にクサされるのは残念なことです。
 ただ…元来出不精な柳としましては、旅行にも食事にも行けなくて構わない、けど映画は観たい!」というのが偽らざるトコロであります。徐々に公開タイトルが増えてきた映画館、殆どのスクリーンが「鬼滅」で埋め尽くされる中、TENETの2回目を観てきました。お陰様でほぼ貸し切り♪

 ここから先はTENETに関してネタバレ満載なので、まだこれからご覧になるという方はすっ飛ばして下さいまし。

回文

  回文、というと後から読んでも前から読んでも同じ意味(たけやぶやけた、の類)の文章のことですが、TENETとは「SATOR AREPO TENET OPERA ROTAS(農夫のアレポ氏は馬鋤きを曳いて仕事をする)」という有名な回文の中心にある言葉だそうな。すべて5文字なところでお気づきの向きもあろうかと思いますが、全部の単語を縦一列に並べて中心(3文字目)を続けて読むとやはりTENETになるとか。…柳が一番苦手な部類のパズルです。
 文章はラテン語(道理で読めん…)だそうですが、それぞれの単語は人名(不動の敵役であるセイター、名前しか出ない癖にワケあり臭芬々な贋作者アレポ)であったり、会社名(貸金庫を運営していた会社の名前がロータス社…内部に時間逆行のための回転扉装備)であったり、重要な場面を暗示する言葉(オープニングはオペラ座襲撃でした)に割り振られています。それらのまさに中心にあるのがTENET(主張とか教旨の意味)!
 柳はこういう、勘繰れと言わんばかりの伏線バラ撒きまくりなストーリーは大好きです。

主人公

 主人公は「名もなき男」で統一されています。どーでもいいですが周りの人が呼ぶのに苦労しなかったのでしょうか。ニールとか他の人物メンバーには名前がちゃんとあったし、お互い結構名前を連呼してたので組織のルールとして名前で呼ばないとかではないのでしょう。とするとやっぱり此処にも意味が。
 パンフではprotagonist:主人公とか主役、主唱者、指導者の意ですね。宣伝文には「彼の名前が明らかになるとき、大いなる謎が解き明かされる」とか載ってましたが、結局固有名詞としては出ず終いだったなー…と思っていました。しかし後半の「指導者、主唱者」の意味でとるなら、ラストで「俺が黒幕」と言い切り約束を反故にしたプリヤ(組織の指導的立場にあったらしい人物)を射殺したあと、彼が組織の「指導者」となったのなら納得はいきます。
 惜しむらくはこの映画、総じて台詞がおそろしく聴き取りづらかったので3、主人公が「黒幕」という言葉をどういう英語で表していたのかを聞き落としました。もし、protagonistって言ってたら筋が通るんですが…

時間逆行

 時間逆行というのはなかなかに新鮮でした。タイムトラベルといえばあるポイントから過去または未来のある一点に瞬時に移動ワープ!というのが定番でしたが、TENETでは「逆行」なのですね。跳ばない。「回転扉」は時間の向きを変えるだけで、あとはひたすら実時間をかけて遡っていくのです。しかしそうやって逆行していくと受けた傷をある程度治すコトも出来るのですね。(逆に、逆行中に傷を受けると何もないところからイキナリ傷が出来てしまいます。受傷場面まで逆行して初めて、ああこのときの怪我かぁとわかると)おまけに時間を遡ってる間は通常の大気では呼吸できないので酸素が必要になります。組織の拠点となる船には逆行中のお籠もりのためにちゃんと酸素部屋さえある!
 そしてもういっぺん時間の向きを変える回転扉を通れば、通常の時間進行に戻ることができるのです。4ただし、最初に回転扉を通ったところまではまた同じ時間が必要と。1日遡るなら1日(往復2日)、2週間遡るなら2週間(往復4週!)。一日二日ならともかく、年単位で遡ると結構大変なことになってしまいます。
 しかし、こういう制限事項ってのは必須ですよね。何でもアリってのは却って興が削がれるものです。

タイムパラドックス!

 そして、この手のネタで必ず問題になるのが「過去の自分に出くわしたらどうなるか」というお話。
 ここでは回転扉で逆行に乗り換えたあと、扉に入る前の自分と出くわすという事態が発生したらどうなるんだということなのですが…ぶっちゃけ、逆行と順行の主人公がド派手に接近戦やらかしてもどうもならなかった処をみると…特に問題ないんでしょうな5
 順行で扉を通ってしまったらそこより未来に自分はいないわけですが、何処かで乗り換えてまた順行にもどった場合、最初に扉を通った時点までは順行の自分が二人存在することになるわけで…同じ日付まで1回逆行すれば2人、2回逆行すれば3人。3回逆行すれば4人…これはややこしい。うっかり出会ってしまったら大混乱ですな。最初からそのつもりで行ったり来たりしてれば別ですが。
 ややこしいといいながら、それはそれで結構面白そうだと思ってしまった柳でした。

えーと、それってつまり?

 2回目を観てもいまだによく解らないシーンについて その1。

 キャットがボートから見た「飛び込む女」が実はキャット自身だったというのは…はぁ成る程、で済むのですが。問題はその直後。やっとこさセイターからの自由を勝ち取ったキャットがヨットから飛び込んで組織のボートへ戻り、作戦成功を喜んだあと(結果オーライだったようですが実際にはGoサインを待たずに撃ち殺してます。いいのか…?)、始動した組織のボートの後方、綱で海中を引っ張られていたのは…ありゃセイターの死体おろくでは?
 ちょっと待て!そんなモンに一体何の用が?それとも何かの間違いで綱が引っかかってうっかり引っ張ってるだけ?後から「きゃぁこんなものが!」って?…ま、それはないですよね。セイターが自分の脈が途絶えたらアルゴリズムを起動させるようセットしていたというのなら、それもきっちり解除するために死体をセンサーごと回収していたのでしょうか。謎です。

結局どこから逆行?

 2回目を観てもいまだによく解らないシーンについて その2。

 スタルスク12の戦闘シーン、アルゴリズム奪取のため地下洞窟へ入った主人公を助け、鍵をあけたのはニールだった。…というのが「赤い紐のストラップ」が冒頭・オペラ座で謎の男の持ち物としてアップになったところからの伏線。そこまでははわかります。
 スタルスク12でニールは逆行の青チーム、だから主人公が退路を塞がれることにも気付いて、敵地の回転扉を使って急遽順行に乗り換え、警告しようとしたけど間に合わなかった。だから洞窟の上からザイルを放り込んでいちかばちか車で引き揚げるという荒技6をやったわけですが…じゃあ、洞窟の地下でボルコフに撃たれながら鍵をあけたニールは?。
 死体だったところからイキナリ起き上がった処をみると、逆行中だったのは明らかですが、そのニールは一体どの時点から逆行してきたというのでしょう?
 地下に降りられなかったからこそ主人公達を助けるために穴の上からザイルを放り込んだ訳です。だったら地下で生き返って弾を受け、鍵を開けて何処ともなく行ってしまったニール(彼視点では、地下に降りて、鉄格子を開けて中に入り、その鍵を閉めた後で撃たれて死亡?)はどこから来たのか?という問題が残ります。
 ニールの終焉の地がスタルスク12であるのは間違いないでしょうが、そこに至るまでに、あのラストシーンからもう一度逆行に乗る間に何があったのか?ムンバイやオスロでのミッションは(彼らにとって)未来なのか過去なのか?考えれば考えるほどわからなくなってしまいました。
 確かなのは、ニールが主人公を友人として大切にしていて、そのために行動したってことだけでしょう。それでいいじゃないか、と言われればそれで納得できてしまうのがこの監督の作品の凄いところなんでしょうねえ。

「黄昏に生きる」

 作中使われる「黄昏に生きる」という合言葉、柳は当初、組織側かセイター側かを確認するためのものなのかと思っていたのですが…どうやら逆行技術を知っていてそれに関わる者であるということの確認なのではないかという気がしてきました。何せ、セイター自身がそのフレーズを知っていたのです。
 そうなると誰が敵で誰が味方?という話がこれまたややこしいことになってしまいます。ひょっとすると、組織側、セイター側といったシンプルな構図ではないのかもしれません。組織にしたって、全世界の逆行、それ困るよねっていうだけの集まりであって、やり方を巡って中身は結構四分五裂してる可能性もありそうです。セイター側の人間だって(親分はともかく構成員は)死ぬのなんか嫌でしょうからセイターが考えていることを知ったら組織側へ寝返るケースがあってもおかしくない。そういう意味では本当に国際スパイアクション的世界です。正義なんてどこにあるのかわからない。「世界の均衡が大事だ」とかいってあっちにもこっちにも手を貸してる奴とかもいそうです。うーん油断ならない。
 そもそも「黄昏」ってどっちつかずの時間帯、昏くてよくわからないから誰そ彼たそかれ、っていうのが語源らしいので、コウモリな奴らばっかりという可能性もありですな。

 いやはや、ついうっかり長くなってしまいました。
 考え出すとキリがないのはEVAといい勝負ですね。さてさて、1/23が楽しみです。…今度こそ本当にやるんだろうな?(<しつこいぞ柳…)

  1. 昔、旦那がビーズアクセにドはまりして材料・工具つきの雑誌を定期購読してました。その資産は現在そっくりそのまま彼女のモノになってます。
  2. 2015年にニュータイプが出した「KAWORU 2015」。別の探し物をしていて古本屋で見つけたもんだから衝動買いしました。実店舗だったらちょっと手を出しかねたかもしれません。ネット古書店万歳!
  3. そもそも柳のヒアリング能力がお粗末っちゃそうなんですが…映画によってはそこそこ聴き取れるのが面白くて、柳は洋画を観るときは極力吹き替えじゃなくて字幕と決めているのです。 
  4. この場合、同じ扉じゃなくても問題ないらしい…。
  5. どっちかがどっちかをうっかり殺してしまったらどーなるのか、という問題はあるか…
  6. この件に関しては打ち合わせにはなく、全くのぶっつけどころか放り込んだザイルが届くかどうかさえ確証はなし。だからこそ主人公達の姿を見つけたニールがハンドルを拍って喜ぶシーンに爽快感があるわけですね。