繚乱の風

西方夜話

 このお話について、言い訳。

 セレス&エルンスト、それにサーティスの昔話。
 「色恋沙汰で縺れる話」なんて、前代未聞でございました。これもひとつの挑戦。以前、「西方夜話」で「王子サマとお姫サマのラヴストーリィを書く!」とぶち上げて結局チャンバラに終わってしまったので、今度こそ!と気合いを入れた筈だったのですが…さっぱり色っぽくなりませんでしたな。

 結論から言うと非常に気の毒だったのはサーティス、というお話です。あの場面で泣かれちゃ…立場ナシです。セレスだってサーティスはそりゃ大切なひとには違いないんですが、男というより大切なご主君なんですよね。だからこそセレスにしてみたら求められても応じられないことが哀しい。おまけにそうと気づくタイミングが最悪。
 その一方で、エルンストは対等な立場でのパートナーです。ま、仕事上はともかくプライベートでは多分にセレス姐さんがエルンストを振り回してますが、心地好い距離で無理なく付き合っていける相手。ただ…多少素っ気なさ過ぎてエルンストの方は焦れてるフシはあります。あんまり表に出ませんが。

 「誰のものにもならない。自分の心のままに生きていく」と決心したはずのセレス姐さんですが、そういう生き方もなかなか大変です。でもまあ、相思相愛の二人だけでは小説って成立しないので…まだまだ波風が立ちます。ごめんよ姐さん…。柳はセレス姐さんが大好きなのですが、柳に贔屓されるとろくな目に遭わないというのは…申し訳ないことに千柳亭書房ウチのお約束なのです(笑)

 ご意見ご感想などいただけますと幸甚です。
 

千柳亭春宵 拝

2021.5.26

薄紅の華は、廻り絡まる闇にも似て