Scene 5  Sunday,11:00 a.m.

「第3新東京のすぐ近くに…こんな場所があるなんて知らなかった」
 山稜は昼近いというのに薄靄に包まれている。周囲を見廻しても靄と山しか見えず、先程まで見えていた筈のビル群が幻だったかのような印象さえ与えた。
「本来、『来たるべき戦い』とやらのために要塞都市として建造する算段だったんだ。そりゃ何も無いところに造るだろうよ。まあ、リリスの卵が埋まってるところがたまたまそうだったって話もあるだろうが」
 立ち止まってしまったカヲルを振り返って、マサキはそんな説明を加えた。常なら「言われなくても知ってる」と切り返すところだが、幾分息が上がっていて…それができなかった。身体能力でそれほど劣っていると思ったことはなかったから、少々口惜しい気がしたのも確かだ。
 だから、口にしたのは別のことだった。
「…慣れてるな、山歩き」
 上着がジャケットでなくウインドブレーカという以外、平生の格好とほとんど変わりが無い。常は持ち歩かないワンショルダーバックを引っかけている程度か。
「まあ、いろんなところを歩き回ったからな。冬のアルプスに比べたらこんな処、平地と同じだ」
 この場合のアルプスは、飛騨や木曽ではなく、ヨーロッパアルプスのことを言っているのだろう。そういえば一時期、スイスの山奥にも逼塞していたという話を誰かから聞いた気がする。…しかし一体何年前の話だ。
「ま、昔のことはさておき…医者の体力なめるなよ、と言っとこうか。…そうは言ってもペースを上げすぎたな。少し休むか」
 見透かしたようにマサキがそう言ったのは、カヲルに配慮してというより道の脇に水が落ちる場所を見つけたためのようだった。岩の隙間から細い水の流れが現れ、小さな水場をつくってまた何処かへ流れ出している。
 両手で水を掬ったら、半分以上なくなるのではないかというくらいの…水場というより水溜まりである。それでも、マサキにとっては十分だったようだ。傍らに膝をついて、片手の指先を水に浸す。感覚を集中する為か、軽く眼を閉ざした。
 カヲルは道端の草の上に腰を下ろすと、疲れた脚を投げて周囲を見廻した。
 トレッキングコースからも外れた、おそらく地元の人間でさえ通るのを躊躇うような山道である。五十代、デスクワーク専門の男が通れたとは思えないのだが、マサキに言わせると「最終的に追いつけば、通った道を丁寧に追う必要はない」ということらしい。要は近道をしているのだ。
 リエが拾った情報を総合すると、ゲンドウは環状線を降りてからこの高原地帯へ入りこんだようだ。しかしそれ以上は追えなかった。山の中までリエの耳目となるものは存在しないのだから当然だ。
 赤木博士の件で折衝に徹してもらわねばならない碇ユイに代わって、マサキが捜索を請け負ったのだが…カヲルが同道を申し出た時、マサキが少なからず驚いた顔をした。
『赤木博士の件が気になってるんじゃないのか? 別に問題無いぞ、俺ひとりでも』
『誰があなたの心配をしてるのさ。…事が1st-cellに関わるなら、僕にとって決して他人事じゃないんだ』
 …結果、まさかこんなハイペースの山中行になるとは思ってもみなかった。しかし、今更口が裂けても弱音は吐けない。おまけにそれを微妙に見透かされている気がして癪に障る。
 どうにも、非生産的な思考に囚われている気がして、カヲルは頭を振った。…今、考えなくてはならないことに切り替えるべく。
 あの時。碇シンジは喪われた日々と自分の居場所を求めて雨の第3新東京市を彷徨っていた。
 では、ゲンドウはどうなのだろう。
 信じたものは幻だった。すべてのものを喪い、罪だけが残った。だが、碇ユイは彼の元を去った訳ではない。むしろ、取り返しのつかない罪を背負った男を何とか助けようと必死で活動を続けている。
 この上、何を望む?
 考えれば考えるほど、わからなくなっていく。
 その時、マサキの声に思考を遮られた。
「休憩おわり。…あのおっさん、存外健脚だな。結局芦ノ湖辺りまで降りてるぞ」

「うーん…やっぱり解析ソフトの精度を見直すべき?なんでこんなのがひっかからなかったのかしら」
 リエが画面を睨みながら唸る。
 第3新東京市の中心部にオフィスビルの立ち並ぶ一郭がある。その一つ。
 マンションの一室だが、生活調度は最低限で部屋の殆どは十台近いディスプレイとキーボードとパソコン、のたくるケーブル類に占拠されている。
 再検索の結果、環状線の車内に碇ゲンドウと見られる人物が延々数時間にわたって乗降している姿が捉えられていたことが判明した。その画像を元に大学病院の研究棟から碇家のあるマンションまで想定できる数パターンの経路を再度洗ったところ…確かにその人物が歩いて移動した痕跡を画像で拾うことが出来たのである。
「うーん、ただうろうろしてただけのオヤジにしてやられたのかー…何か屈辱」
 十数台のワークステーションにかしずかれた女教皇ハイ・プリーステス。彼女が座すシンプルな玉座ハイバックチェアの背凭れに肘を載せて、イサナが検索結果を眺めている。
「要は、拾える特徴が周期的に変化してる所為なんだろう?」
「普通は有り得ないくらいにね。私だって、サキに言われなきゃここまで特徴広げて検索しなかったわよ。結果が出ても意味が繋がりっこないと思ったもの」
「やはりサキの読み通りか…」
「やーねェ、移植片を切り落としても1st-cellの融通性が残ってるってことは…やっぱり…仮称18th-cellってことになるの?」
 心底嫌そうに、リエがぼやく。
「俺には判らん。…しかし、ユウキが捜してもぼんやりして所在が掴めなかった、というのもそこだろう。1st-cellの反応があったり無かったり…ついでに第3新東京を環状線で動き回っていてはな」
「まあ、ここまで絞れたらあとは時間の問題よ。それより、例の件の方は?」
「それなんだが…タカミが存外上手にやってくれた。あれならなまじ正規の護衛ガードつけるより安心だ。怪しまれることもない。…まぁ、成り行きによっては多少コトが大きくなるかも知れないが、そこはうちの連中でも同じだろう」
 イサナが少し人の悪い笑みをする。
「今まで通り、ミスズ達もつけてあるが、俺もそろそろ行く。証拠を押さえたら即・確保でケリ…というのが理想なんだがな。あの玉藻前キツネが、『彼女の選択を聞かないうちに片付けてしまうわけにはいかない』と…」
「正論なんだけど…。それにしてもよくあの子タカミが了承したわねこんなコト。言っちゃえば彼女、囮じゃない」
「それに関してだけは、タカミの意見は碇博士と大差ない。彼女赤木博士の選択に従うだけって立ち位置スタンスだからな。それによっては…俺達の動き方も変えなきゃならんだろう。
 だからこそ、碇博士は公安警察コーアンじゃなく俺達に話を振ったんだ。彼女が今の環境では研究が続けられないと判断するなら、止め立てはしないし、むしろ支援に回ることになる」
「当然、その『正規の護衛ガードより安心』な御仁もその辺は承知なのよね?…融通効かせてくれるのはありがたいけど、どうにも上手に遣われてるカンジが拭えないなぁ。結局、碇博士が抵抗勢力ざっくり切り捨てたいだけじゃないの?」
「俺だってそう思うが…別に俺達は碇博士の指示で動いてるわけじゃない。今は協力関係にある、というだけだ」
「はいはい、そーね。あぁ面倒臭い…」
 彼女の嘆息は混迷する事態に向けたものか、それとも頑固な同胞イサナに向けたものだったか…。

「…完璧だ。数日で詰め込んだとは思えんな」
 質問に対してある程度納得できる答えを得た冬月は、手にしていたレポートを机の上に置いた。やや意地の悪いコメントに、榊タカミが悪びれもせず、柔らかな微笑と共に一礼する。
「恐縮です」
 おそらく、嫌味とか皮肉が通じにくいタイプの人物なのだろう。
「いいだろう、うちの単位は認定するよ。これで単位は足りたことになるんだろう? とりあえず、進級おめでとうと言っておこうか。
 それはそうと、赤木君の手伝いをしているそうだな。AIに元々興味が? なぜ今の学部に? …いや、単位とは関係無い話で悪いが、良かったら聞かせてくれんかね」
 話をしてみると決して不真面目な学生というわけではない。レポートもそれなりに面白く読めた。だからこそ今回の経緯が少々謎ではあったのだ。
 学生課から回ってきた資料では24歳となっているが、高校を出たばかりと言われてもそう違和感がない。榊タカミは少し困ったように視線を泳がせたあと、口を開いた。
「実を言えば…AIに関しては昔囓ったことがある程度でした。あの時は。それほど積極的に興味を持っていたというわけでもなかった。出来たから、必要があったからやってた…そんなものでした。
 でも医学部だって…申し訳ないことには、後見人に言われて、何も考えずに入っただけだったんです。有り体に言えば他にやりたいこともなくて」
 正直すぎる述懐に、冬月は失笑を隠し損ねた。だが、彼は至って真面目に言葉を継ぐ。
「…でも、赤木博士に声を掛けてもらった時に、わかったんです。
 あのひとは今まで『しなくちゃならないこと』を懸命にしてたんだ。だから、今からは『やりたいこと』に挑戦し続けるんだ、って。
 そこに、僕に手助け出来ることがあるのなら、こんな嬉しいことはない」
 そう言った時の、穏やかというのも通り抜けた…静かな表情。先程までの印象と裏腹に、記載された年齢よりも遙かに長い年月を経た者のそれと見えた。
「ほう…」
「でも今は、研究自体も本当に面白いんですよ。だから、赤木博士には感謝しています。最近、何となくわかってきたんですが…AIの試みって…畢竟つまるところ、人間を知ることなんですね。
 …すみません、教授。訊かれてもいないところまで長々と」
 ふと、我に返ったように言って、口を噤む。
「いや、構わんよ。赤木君は君を高く買っているようなのでね。君という人物に少々興味があったのさ。…面白いな、君は。
 人間を知る、ということは、何の学問でも究極の目的なんだろう。頑張りたまえ。…ああ今後は、今回のようなことにはならないよう気をつけて」
 一応教職としての釘を刺しておいてから、冬月は少し俯き加減になる。そうしてややあって顔を上げると、一息置いてからゆっくりと口を開いた。
「私は…赤木母娘に償いきれない程の負債がある。それなのに、私自身が彼女にしてやれることは今更何も無い。だから、これは非常に厚かましい頼み事ではあるんだが…榊君、だったな。彼女の力になってやってくれ」
 榊タカミは屈託ない柔らかな微笑を浮かべて言った。
「僕に出来ることなら…喜んで」

「研究続けるのって、大変なのねえ…」
 葛城ミサトは手許のタブレットでプレゼンテーション用の資料を点検している友人の背後から、色鮮やかなグラフや表でまとめられた数字を斜め見しながら言った。
「大きな声で言えた話じゃないけど、人工進化研究所にいたときと訳が違うもの。現在ある数字データ、予測される数字データ…上手に使ってもぎ取れるところからしっかりもぎ取らなきゃならないのよ、研究費って」
「はぁ…」
 心ならずも宮仕え一辺倒で、あまりそういうことと縁が無かったミサトとしては、そういう世界もあるのかという感想にとどまるしかなかった。
 第3新東京市を少し離れた、湾岸再開発区。古い市街の建物を一掃し整然と立ち並んだオフィスビル。その中にあるホテルの小会議室である。20畳ほどの広さがあろうか。外に面した壁は全面ガラスになっており、海が見える仕様になっている。
 研究費の新規出資者に対する説明の場所として設定されたそこは、二人が到着したときには既に机と椅子が丁寧にセッティングされていた。本来、出資して貰う側がそのあたりは調えるものだが、今回は先方から是非にと来た話なのである。
 うますぎる話ではあったが、だからといって最初から蹴るわけに行かないのが苦しいところだ。
 案の定、予定の時間になってその会議室を訪れたのは、当初の交渉相手となるはずだった人物とは別人だった。
「…意外なところでお会いしますわね。エアハルト=ブッフホルツ中佐…元ネルフ・ドイツ支部長? 民間ITビジネスに転向なさったとは存じ上げませんでした」
 冷ややかに、リツコは言った。
 半分白くなりかかった金髪と暗い碧眼、初老の男。
「悪い話ではないと思うがね、赤木リツコ技術部長。君は日本政府あたりに飼殺しにされるには勿体ない人材だ。我々と共に、新しい世界を創ってみないかね?」
「どこかで聞いたような誘い文句ですわね。嫌だと申し上げたら、どうなるのかしら?」
「我々は君を、賢い女性だと思っているよ、赤木君。保護監察処分という名の飼殺しに甘んじるには相応の理由があるのだろう。我々には、それを解決するだけの力があるのだがね。そう、こんなちまちましたプレゼンテーションで研究費を確保するような…時間の無駄はしなくて済むだろう」
「見もしないうちからちまちましたプレゼンとはご挨拶ですこと」
「失礼、君の実績を知る者にしてみれば、こんな所に出せる情報なんて些末だろうからね。スーパーコンピュータ・MAGIの開発者たる君にとっては…」
「MAGIは母の開発したものです。私はシステムアップと維持をしていただけですわ」
「だが赤木ナオコ博士亡き今、そのノウハウを継承しているのは世界中に君ただひとりだ。
 MAGIタイプは世界に数基あるが、あくまでもマイナーチェンジに過ぎん。MAGIオリジナルに注ぎ込まれた技術に比すれば、エコノミータイプ量産型と言うべきただの模造品だ。だからこそ、出所不明なウィルスであっという間に機能不全に陥る」
「お言葉ですが、あのウィルスにはオリジナルも相応の被害を受けましたわ。復帰するのに時間がかかったのは、メンテナンスに当たる人材の不足では?」
 暗に運用の問題だと指摘してみせたのだが、ブッフホルツ中佐と呼ばれた男は動じなかった。
「そうだな、人材を集め育てることもこれからの課題だ。その為にも君の知識・技術は埋もれさせるわけにはいかん。我々には、君を国外に亡命させる準備がある」
 リツコとミサトの顔に一瞬だけ、緊張が走った。
 ―――――言ったな。
「お断りします」
 しっかりと区切るように、リツコは言った。
「あなたの言う『ちまちましたプレゼン』で研究費を確保するのが決して楽じゃないことは認めますけど…海外くんだりまでいってあなた方の政争の具にされるよりは何倍もましというものですわ。
 キール議長も他界なさって、旧ドイツ支部としては、解体を免れ、政府から継続的に金銭を引きだすための何らかの切り札が欲しいというところでしょうけど…他所よそを当たってくださる? 私が今やっているのはMAGIを復活させることじゃなく…MAGIを越えるコンピュータの開発なんです」
 今度は中佐の顔が強張る番だった。だが、濁った笑みがそれを打ち消す。
「…手続きなどあとからどうにでもなる、とは思わなかったのかね?」
 上着の内ポケットから拳銃を抜くと、真っ直ぐにリツコに向ける。ミサトも上着の内側に手を滑らせたが、抜くことはしなかった。背後の扉が開いて、数人の男が入って来たのだ。いずれも、銃を手にしている。
A live dog is better than a dead lion.命あっての物種という言葉もあることだ。君には君の意地があるのだろうが、死んで獅子を気取るよりも賢い生き方があるとは思わんか?」

【ミスズ、捕捉できてる?】
 ホテルの窓を視界に収めることの出来るオフィスビルのひとつ。既に屋上に設置した架台にPSG11を据え付けて、ミスズは何時でも撃てる環境を調えていた。
 先程から、ガラス壁と見えたその会議室は真っ白な壁になっていた。
「うー…ユウキがいるから見えることは見えてるけど、部屋の中はPSG一撃じゃ無理かも。あの硝子、ちょっと厚そうだわ」
 ヘッドセットを押さえながら、ミスズが仰向けに寝転がってペロリと舐めた指先を空へ伸ばした。微妙な横風だが、この程度ならなんとかなる。
「瞬間調光ガラスってやつだな。通電すると透明になるってヤツ。まあ、会議室ってんなら内側はスクリーンにも使えて一石二鳥って? ただでさえああいうところのガラスって強化ガラスだろうし、間に液晶シートが入ってるから一気に割っちまうのは無理だろう。」
 ナオキがスコープを眼から離して言った。ミスズが寝転がった格好のまま腕組みして唸る。
「ね、リエ姉。今のうちにヘカート2に換えちゃおうか?」
【すぐ傍に保護対象がいるんだから駄目。ただし、スタンバイだけしといて。連中が赤木女史を穏当にご招待するってんなら普通に車でしょうけど、強引に拉致らちるつもりならヘリって線も棄てきれないから。…そのビル、屋上にヘリポートあったでしょう】
 場合によっては、接近するヘリをヘカートで撃ち落とせと言うわけである。
「緊急離発着場だよ? ホントにヘリが来たらそこそこ騒ぎになるんじゃない?」
【連中がなりふり構わず強行する可能性を言ってんの。連中だって結構切羽詰まってるんだから。最悪、彼女本人が嫌だって言っても、無理矢理誘拐さらって在外公館へでも連れ込まれたらどうにもならないわ。
 彼女はかつて技術部長の地位からから更迭・追放された上に監視されてた身の上だけど、政府からの扱いとしては冬月教授と同列よ。政府からある程度の制限を受けていることには違いないから…彼女が研究を継続する為に亡命の意図をもって駆け込んだ、ってことにしちゃえば、無茶だけど筋は通っちゃうし】
「うわぁ…そうなったら…」
【彼女が本当に国外へ出たがってるっていうなら、話が別だけどね。彼女がマトモな状況判断が出来る女性ならNo!って言うでしょう。
 その結果…連中が強硬手段に訴えた場合。タカミがブチ切れるのが火を見るより明らかねー】
「今までだって相当我慢してたんだろーし…何が起こるか怖いなー」
【ナニ嬉しそうに言ってんのよこの娘は】
「嬉しそうになんか言ってないもん!」
「いや、ミスズ顔が笑ってる」
「ナオキ、うるさい!」
 横合いから突っ込まれてミスズが傍らに立つナオキのすねをキックする。それを軽いステップですいと避けて、ナオキが言った。
「ま、冗談抜きにしてその為にイサナが伏せてんじゃないの? もう中にいるんだろ?」
【一応、タケルとタカヒロにも下のロビーに詰めてもらってる。今、イサナに内部構造のマップ送ってるけど、例の会議室フロアから上は借り切りで、一般客をシャットアウトしてるみたいなの。連中、やっぱり結構荒事も想定してんじゃないかしら。
 オマケに、小賢しいことにフロアまるごと外部接続をブロックしちゃってる。実は今、私も中が見えないし聞こえない。防犯カメラも接続させないなんて、よくホテル側が了承したと思うわ。要は、中を把握しようと思えば外側からケーブル突っ込んで覗いてみるしかないのよ。立てこもり事件のときにSAT3とかが使ってる奴】
「サキならなんとかなるよね?」
【サキは徘徊オヤジの件で手一杯よ。こっちについてはイサナに一任って言ってるから、イサナの判断待ちなんだけど…どうするんだか】
「リエ姉ったらえらく悠長なこと言ってるけど…」
【別に悠長に構えてるわけじゃなくて、本当に手詰まりなんだってば。ユウキだって音までは無理でしょ。位置にしても通路・・開けられるレベルの座標出せっていっても困るわよね?】
「悪いが無理だ」
 至極端的に、ユウキが言った。
「タカミなら携帯のGPS情報からそれに近いものは出せるようなことを聞いたが…しかし、赤木博士は早々に答えを出してしまっているようだ。そうでなければ、あれだけものものしく周囲を固められはしないだろう。誘ってはみたが良い返事が貰えなくて、説得中というところでは?」
【あ、やっぱりそう? …とすると、もう動いちゃっていいのか】
「だが、近いのと数が多いのとが難だな。タケルやタカヒロを突っ込ませれば攪乱としては十分だろうが、赤木博士に怪我させかねない。イサナに突入してすぐ楯張ってもらって、ミスズのバレット4で掃射、ってのが今の位置取りでは最善と思う」
「…バレットで掃射って…お前さらっと怖いこと言うね」
 ナオキが結果を想像してか冷汗を垂らして呟く。
【連中が一人も原型をとどめてなかったら…さすがにちょっと警察へは突き出しにくいわね】
「連中に今すぐ赤木博士に危害を加えるつもりがないなら、選択肢は増えると思うが」
【そりゃそうでしょうよ。連中が欲しいのはあくまでも赤木博士の頭脳なんだから。手に入らないならいっそ、って傾くとしたら最終段階でしょう】
 リエの意見に暫く何か考えていたナオキが、ハンドロード5のツールを詰めたトランクのロックを跳ね上げて言った。
「このまんま膠着しちゃうとしたら、連中が赤木博士の移送にかかったときが勝負…かな。
 んでね、リエ姉。今、ユウキがてる位置取りからいうと、荒事っちゃ荒事でも…もうちょい穏当な手段に心当たりあるんだけど…聞いてもらえる?」

 研修棟の階段を降りながら、タカミは軽く吐息して肩を回した。
 口頭試問は15分程のものであった。先日提出済みのレポートに関する質疑だから、殊更に準備するほどのことはなかったが、緊張しないと言えば嘘になる。
 タカミが冬月に持った印象は、その前日にマサキが面会したときのそれとあまり変わるものではなかった。しかしふと、ある種の感慨のようなものが混ざり込んでいることに気づいて…少し驚く。
 そういえば…AIとしてSerial-02と同調していた時。学校に送り込まれる際の方便として、冬月教授の養子としての籍が準備されたのだった。
 実際に会ったのは一度か二度の筈である。会ったというのも不適当だろう。水槽の中で調整中だったときに様子を見に来た、という程度のものであった。
 碇ゲンドウのような、無機物を見るような目とも…伊吹マヤのような、得体の知れない恐ろしいものを見るような目とも違った。現状を仕方ないことと受容れながら、それでもよりよい道を問い続けているような。
 それはおそらく自問自答で、タカミはもとより誰に対するものでもなかったのかもしれない…そんな気がした。
 全く以て、何故あんなことまで喋ってしまったのか。それでも、言って後悔をしたわけではなかった。
 むしろ、聞いて貰えてよかったという安堵感さえあった…。
 階段を降りる脚を速める。その一歩ごとに、先刻とは別物の緊張感が穏やかな造作の貌に陰翳を落としていった。ポケットからヘッドセットを出して耳にかけ、左手首の腕時計を時計型の装着ウエアラブル端末に付け替える。
「…Yroul」6
【Yes】
 タカミの呼びかけに、平坦な応答は殆ど遅延なしに返ってきた。
「リツコさんの位置確認。それと、その近く…水平に半径10メートル内に拾える端末を検索」
【理由は?】
 少しずつ歩調は早くなっていった。
「一々説明してるヒマがあるなら君なんか呼び出さないよ。ついでに言うとわかってるのに訊くのか?
 言っとくけど君、リツコさんには借りがあるんだからね。夏に研究室のサーバを攻撃してリツコさんに撃退されたらしいけど、彼女が思い切った手段でブロックしてくれなかったら、君はバージョンアップした『槍』で修復不能なダメージを受けるところだったんだから。
 僕のワークステーションにバックドアをつけるつもりだったんだろうけど、僕が何の準備もなしにあそこを空けるとでも思った?」
【そういう論法で、私の説得を試みている訳か?】
「何なら脅迫って言い換えようか?僕は今…これで結構、いらついてるんだけど」
 穏やかな声が、俄に霜を纏ったかのように温度を下げる。さすがに、応答に遅延が生じた。
【了解した。これ以上、非論理的な攻防に時間を割くのは妥当ではない】
Sureそのとおり…」
 タカミは最後の3段ほどを飛び降りて短くそう応えると、走り出した。

「ごめんなさいね、ミサト。こんなことになってしまって」
 調光ガラスに眺望を遮られた会議室。赤木リツコと葛城ミサトは出入り口から一番遠い辺りに置かれている椅子に座っていた。
 拘束されているわけではない。目の前のローテーブルには紅茶と茶菓子まで揃えられているが、勿論二人とも手をつける気になれなかった。5mほど離れて拳銃をちらつかせるダークスーツにぐるりと取り囲まれている。携帯電話は取り上げられ、円陣の外側に置かれていた。
「いやまぁ、去年はうちの莫迦が発信器つけられてることに気付かなかった所為でリツコに大怪我させちゃった7んだし。おあいこよ」
 頭を掻きつつからからと笑うミサト。
「そこのご友人を無事に家に帰してあげたいなら、君が我々と一緒にこの国を出る…という選択が一番妥当なのだがね?」
 円陣の中央…ブッフホルツ中佐が言葉面だけは慇懃に提案する。
「まったくあんたらときたら!こんなことがまかり通るとでも思ってるわけ?この国にだって警察はあんのよ。こんな、拉致監禁の現行犯がすんなり国外に出られるとでも!?」
 ミサトが噛みつきそうな勢いで怒鳴る。
「やりようはいくらでもある、と言わなかったかね?
 この国の政府は赤木君、君という逸材を扱いかねているのだよ。本来なら国家的なプロジェクトのリーダーとして活躍の場を与えられるべき君を? ああ、勿体ないね。できるなら、至極まっとうに招聘したいのだよ。我々はね」
「私の態度次第だと仰る?」
「その通りだ」
 リツコの目許が険しくなる。
 …その時、携帯の着信音が鳴った。リツコのものだ。一瞬空気が凍るが、リツコが冷然と言い放つ。
「…出ても、よろしいのかしら?」
「誤解のないよう言っておくが、我々は君を誘拐したわけでもなければ監禁しているわけでもないのだよ。好きにしたまえ。だが、くれぐれも慎重に行動することだ。君の未来だけでなく、友人の命が掛かっているのだからね」
 ブッフホルツ中佐が鳴動する携帯電話をテーブルの上から取り上げ、発信者表示に目を走らせた。
「ほう…君の優秀なブレーンからだよ。そうだな、君が一人では心細いというなら、彼も一緒で構わない。研究を続けるなら、気心の知れた助手のひとりくらいは居なければ何かと困るだろう?
 君の周辺は一通り調べさせてもらっているよ。全く経歴が拾えなかったのは彼くらいだが…その方がいろいろ手間が省けてこちらとしても都合が良い」
 そう言って、携帯をリツコに差し出す。ミサトが横から身を乗り出して覗き込む。発信者表示を一目見て声を上げそうになり、慌てて呑み込んだ。
 リツコは携帯電話を受け取ると、表情を変えないまま…応答ボタンを押した。
「…はい」
【榊です。今終わりました】
「結果は?」
【有難いことに進級できることになりました。本当に、ご厄介かけてすみません。冬月教授にも釘を刺されましたよ。今後は、こういうことのないようにってね】
「そう、よかったわね」
 少しはしゃいだような声に、リツコが初めて微笑する。その一方で、傍らのミサトは「ナニ暢気な会話してんの」という苦笑いに半ば頬を引き攣らせている。
【じゃ、いまから伺って構いませんか?】
「いいけど…今出先よ?」
【すみません、まだ仕事の途中でしたか?】
 少し心配気にトーンが落ちる。
「いいえ、もう帰るところ」
 リツコの答えに、ブッフホルツ中佐の表情から余裕が消えた。
【じゃ、迎えに行きます。葛城さんも一緒でしょう?】
「そーよ、状況わかって言ってる!?」
 横から身を乗り出して、ミサトが携帯電話に噛みつきかねない勢いで応えた。
【ええ、大丈夫ですよ。すぐに行きます。葛城さん、そのままリツコさんの傍から離れないで下さいね】
 そう言い終えるのと、臙脂色の絨毯に黄金色の光条が走るのがほぼ同時だった。
「何…うっ!」
 ブッフホルツ中佐の右腕が、プラスティネーション標本のように整いすぎた断面を晒して宙に舞う。リツコに携帯電話を手渡したあと、まだその近くにとどまっていたのだ。リツコとミサトが座っていたソファの周囲に、黄金色の蔦が立ち上がって、中佐の右腕を斬り飛ばしたのだった。
 中佐が呻いて床に這う。
「…ということで、迎えに来ました」
 黄金色の蔦が霧消した直後、まさに忽然と…一人の青年が這いつくばる中佐の目前に降り立った。やや癖のある栗色の髪と緑瞳。至って学生然とした風体で、たった今講義が終わって講堂から出てきた大学生にしか見えない。その手にペンケースとノートがないのが不思議なくらいだ。
 至って軽捷な動作であったが、その瞬間に先刻黄金色の光条が奔った跡の床に断層が生じる。
 黄金色の蔦と見えた光条は、会議室の床をソファのあるところを中心に直径3メートルほどをきれいに切り取っていたのだ。しかし、床と下階の天井の半分ほどの厚みが沈んだところで停まってしまう。
「…撃て!」
 中佐が喚いた。青年が身体を屈めてリツコの上に覆い被さる。殆ど同時に十発以上の銃声が重なるが、橙赤色の光壁に全て遮られた。
 その時、もう一つの人影が舞い降りる。
「やっぱりお前の体重だけじゃ無理だったな」
 年代としては、最初に降り立った青年よりもわずかに歳嵩かというくらい。しかし、黒髪、炯々たる紫瞳…精悍という言葉を具象したような佇まいは、猫科の大型肉食獣を思わせる。
 彼が床を蹴りつけると、切り取られた床は下階に向けて勢いよく落下した。
「―――撃て!」
 その指令は、先程中佐が発したものと同じであった。だが今度は黒髪の青年が発したもので、結果は全く異なった。
 外に面した壁の接合面が、不意に白煙を発する。次に生じた衝撃で、窓ガラスが窓枠ごと外れて部屋の方へ向けて倒れてきた。絨毯へ窓が倒れ込む様子は至って静かであったが、直後に凄まじい音がした。倒れてきた窓ガラス…殆ど部屋の一壁面…が床に倒れ込んで砕けたのだ。
 ガラスの性質上、砕けても飛び散ることはなかったが、倒れてきた窓の下敷きになって数人ほどが身動きが取れなくなる。
 清爽な海風が吹き込んで、淀んだ苦鳴を薙ぎ払った。
「追え、下だ!」
 中佐の指示に反応した数人が、立ち上がって動き出そうとした。しかし、立ち上がった者から次々と腕や脚を撃ち抜かれて倒れ伏す。
 遅れて、乾いた銃声がした。明らかに着弾のほうが早い。これだけの高層階だから、遮蔽物がなくなれば狙い放題とはいえ、一体どれだけの距離から撃ったというのか。
 誰も立ち上がれず、中佐は怨嗟の唸りを上げながら出入り口へ這い寄った。
 廊下に詰めていた部下達が、異状を察してようやく扉を開ける。しかしその扉は次の瞬間、爆発したように木っ端微塵になった。遅れて銃声。先程までの高速軽量弾とは訳が違う。対物アンチマテリアルライフルに違いなかった。直撃はされなかったものの、扉が砕けた衝撃の余波を食らって廊下にいた部下達が後方へ吹き飛ぶ。
「下の階を固めろ。逃がすな。赤木博士以外は殺しても構わん」
 中佐の声は、もはや呪詛に近かった。

「うわぁ…きれいに倒れるもんねえ」
 ヘカートから身体を離して、ミスズが感心したように風通しの良くなった会議室を眺めた。
「だろ?叩いても壊れにくいし、対物ライフルで撃っても口径分の穴があくだけってんじゃ効率悪いからな。丁寧に窓枠融かしといて、最後にへカートでひっぱたけばあんなもんさ。結構重量あるし、先にタカヒロが空気穴抜いてくれてるから簡単に倒れる」
 ナオキがハンドロードキットを収めたトランクを閉めながら言った。左前腕に巻いた包帯をするすると解くと、消えかけた長い傷が現れる。『窓枠を融かす』のにナオキの特殊弾頭を会議室の周囲に撃ち込んだのであった。
「…まあ、真新しいホテルの会議室に大穴開けておいて『穏当な手段』と言い切れるかどうかは微妙だがな」
 ユウキが笑いもせずに言うと、ナオキが手を振って言った。
「いやいや、死人出さずに済むんなら十分穏当じゃね?」
「…あの何とか言う中佐…片腕落ちたぞ。タカヒロが床ごと斬ったんだろう。切断面が鋭利だからな…早いところ処置しないと不味いと思うが」
「…え、本気マジ?」
 ナオキが僅かに頬を引き攣らせた。

 刳り抜かれた床ごと、しかもワンフロア分の墜落としては、まるでエレベーターで降りたかのようにふわりと停まる。しかもやや高さが足りない。
「…ん?」
 十分非常識な展開に、かくも小さなツッコミをいれても仕方ない筈なのだが…葛城ミサトがそれでも敢えて注意を向けたのは、この後に何が来るのかを警戒したからだった。
 しかし、警戒したからといってどうなるものでもなかった。床はおもむろに傾き、斜めに接地したからだ。
「ひゃあ!」
 先刻まで座っていたソファが傾いた床を滑り落ちる。一緒に転落を免れたのは、力強い手がミサトの腕を引っ張ってくれたからだ。瞬間、友人リツコの方を心配したが…心配するだけ無駄だった。
 瞬間、重力方向を見失いそうになったが、引っ張ってくれる手に方向を任せて床を蹴る。安定したフォームの受け身をとってワンフロア下の水平な床に着地することができた。
 一階下も同様の会議室であったが、机や椅子の類は丁寧に脇へ片付けてある。お蔭でそういったものにぶつかって余計なダメージを喰わずに済んだ。
「タケル、それ、下ろしちゃっていいぞ。やっ♪ あねさんお久しぶり。元気そうだね。怪我ないー?」
 そう言って気楽に手を振ったのは、タカヒロと呼ばれていた少年だ。見た目は中学生、中身は至って朗らかな造園師ガーデナーだが、物騒な特技があることはミサトも知っている。床ごと中佐の腕を斬り飛ばしたのは彼だろう。…多分、そんな斬り飛ばすつもりはなかったにしても。
「おかげさまで」
 ミサトは苦笑いして、転落から救ってくれた腕の所有者へ向き直った。
「ちょっとぉ…イサナ君。お姫様抱っこと一本釣りじゃ待遇に随分差があるんじゃない?」
 そう言って、肩越しにリツコの方を指して意地の悪い笑みをする。そこでは、タカミに抱えられたリツコがそっと床に降り立つ処だった。
「それは悪かった。赤木博士と違って、ショートブーツの踵と爪先に特注で鉄芯仕込むような御仁なら、方向を整えるだけで十分と判断したのでな。
 …うっかり抱えて何か刺さってもつまらん」
「何だ、知ってたの」
 銃は携帯と一緒に取り上げられたが、スカートの下、両大腿のサイドにはまだ薄いナイフが仕込んである。何が起こるかわからない、と聞いていたから、一応の用心のつもりだった。連中にも見つからなかったくらいだから、まさかばれているとは思わなかったが。
「さて、のんびりもしてられん」
 イサナが黒い塊をミサトに投げて寄越す。慌てて受け取ると、先刻取り上げられた筈のUSPだった。
「うわぉ、いつの間に」
「おっつけ碇博士が手を回してくれるが、とりあえずここから撤収だ。
 …で、動けるか」
 そう問われたのは、他でもないタカミだった。リツコを無事に降ろしたあと、よろめいて壁に背を預けたまま肩で呼吸いきをしていたからだ。
「えっ…あ、はい…」
「とりあえず物理防御出来るようになったのは重畳として…悪いことは言わんからお前、もう少し体力つけろ」
「あれ、イサナがはじいたんじゃなかったんですか」
 タカミの反応に、イサナが頭痛を堪えるようにこめかみへ手を遣る。
「偶発か…聞くんじゃなかったな」
 その時、タケルがコン、と開けたままのドアを叩く。
「イサナ、エレベーター、階段、どっち?」
「エレベーターだ。今ならタカミが制御系を抑えてる。それからタケル、タカヒロと階段を潰して来い。時間を稼ぐ」
「あいよっ!」
「了解」
「行くぞ。階上うえにいる連中は俄に動けまいが、女教皇ハイ・プリーステスから救急医療ヘリを装った所属不明機がこっちへ近づいているという有難いご託宣もあることだから…さしあたっては階下へ降りる。
 道路封鎖して陸上からの増援もシャットアウトしてるから、挟撃はない筈だ。一般客に紛れてしまえば、そうそう荒事にもなるまい」

  1. PSG1…H&K社のセミオートマチック狙撃銃。ミスズ自身はボルトアクションのレミントンM700のほうが好きらしいが、狙いが多数になる時はこちら。一応好みより実用を優先させるらしい。
  2. ヘカート…PGM ヘカートII…壁も撃ち抜くボルトアクション対物ライフル。こんなもんで人を撃ったら大変だ。
  3. SAT(Special Assault Team)…警察の警備部に編成されている特殊部隊。ハイジャックやテロ事件、組織的な犯行、強力な武器が使用されている事件において、被害者等の安全を確保しつつ事態を鎮圧し、被疑者を検挙することをその主たる任務する。
  4. バレット M82(Barrett M82)…大型セミオート(装填のみ自動)式狙撃銃。これも対物ライフルなので、人に向けた場合の結果はヘカートに同じ。
  5. ハンドロード(手詰め、リロード)…拳銃、小銃、機関銃、散弾銃などの実包(実弾)を手作業で製作すること。ナオキの場合、材料をおおっぴらにできない特殊弾頭も作成している。「すべて世はこともなし」第8話 C Part 参照
  6. イロウル…昏睡していた間のタカミと同調していた人工知能。赤木母娘が「ヒトに等しい人工知能」を目標に開発していたが、ゲンドウにダミーシステムへの転用を強要され、離反。ゼーレを壊滅させた挙句出奔した。現在はタカミと分離、自身の生存に必要なツールとしてタカミを認識しており、一応協力関係にある。何だかんだ言ってミサヲちゃんには結構飼い慣らされているらしい。そこら辺の経緯については「楽園に寧日なし」参照。
  7. 「すべて世はこともなし」第九話 E Part 参照