師走のころから、みっちゃんは少しずつスプーンとフォークを持つようになった。…いや、握るだけなら半年ぐらい前から握っていたのだが、それを食事の道具として使用するようになったのである。
クリスマスケーキを食べていた時のことである。握り締めているフォークに一口大にしたケーキを刺してやると、みっちゃんはしばらくじいっと見入っていた。そしてやおら大きく口を開けると、ゆっくり「あ~~~~~むっ♪」。(<擬態語ではない。本当にこう言っていた)思わずビデオを持ち出したくなるようなワンシーン(<親莫迦)に柳と旦那が拍手喝采したのは言うまでもない。
現在のところ食事というより動作そのものが遂行できる(平たく言えば大人の真似ができる)ことに一種の喜びを見出しているらしく、口に持ってくるまでにほとんど中身が零れてしまおうがお構いなし、ごはんつぶが二つか三つくっついただけのスプーンを満面の笑みで頬張っている。…それでもって一回成功すると、よっぽど嬉しいのか「うきゃっ♪うきゃっ♪」と暫く喜んでいるのだ。シンプルを絵に描いて原色のクレヨンで彩色したような光景だが、仕事でくたびれて帰宅する柳にはまたとない活力剤である。
また、両手にスプーンとフォークをひとつずつ持つのはいいのだが、どういう具合かお茶のマグを手にするときにも離そうとしない。スプーン(もしくはフォーク)を持ったままの手でマグのハンドルを握ろうとして、握りにくいと焦れるのだ。みっちゃんが、スプーンを置いてからマグを握ればいいと気づくのはいつの日だろう(笑)
030209