「被服検定、準1級受けようと思う」
某日。高校三年生、受験最前線にいる筈の末っ子のんがそう宣言しました。
対象が何であれ、チャレンジ上等!受験と関係あるとかないとかこの際out of sight. よしやってみな、と一緒に実技試験のために使う布を買いに行ったのは、夏休み前の話です。
手芸屋さんには最近とんとご無沙汰だったので、思わずいろいろ見入ってしまいました。買い物で悩みだすと高率で長考の構えに突入するのんを急かさないためでもありましたけどね。
この被服検定についてまずは補足情報を。
公益財団法人 全国高等学校家庭科教育振興会というところがやっている、被服製作技術検定のこと。衣服の製作に関する知識と技術を評価する全国規模の検定で、家庭科教育の一環として実施されているそうな。将来的に何か職業に繋がる 1というもんでもなさそうですから、まあ純粋に腕試し 2でしょう。
去年の夏のこと。突如のんがこの検定(去年は3級)を受けると言い出しました。
興味のある方はこちら。
昨今は家庭にミシンがあるのは珍しい 3とか。柳が子供の時分には、新学期になる度に学校で使う雑巾を持っていくのに家で縫っていましたから、掃除機洗濯機なみとは言いませんが、ご家庭の必需品だと思っていました。考えてみれば今は100円ショップへ行けば雑巾なんていくらでも売っている。まあ、なくても問題はないのでしょうね。
柳はちびどもが幼少の頃、古着リメイクの遊び着を山のようにこさえていました。柳のやることですから、いたって雑なもんでしたが…それを見ていたのんは小学校も低学年から自分が持っていく雑巾を自分で縫うようになっていました。それが昂じると夏休みの工作課題で五頭身テディベア+和装着せ替えセット(収納箪笥つき) 4を制作するようなウルトラハイパワー凝り性娘 5が出来上がるという次第です。
検定に関しては家庭科クラブの先生にこんなのあるよ、と紹介されて興味を持ったのがきっかけだったようです。実技以外にちゃんとペーパーもあるのですが、「けっこー難しい」とかいいながら喜んで過去問やるあたり、立派なもんです。3級の実技課題はアウターパンツでしたが、なんなくクリアして秋には免状を持って帰ってきました。
その後、なにやら仕組みの改変があったとかで、現有の3級は2級相当に格上げされ、受けるとすれば次は準1級となった由。
その準1級からは洋服と和服に分かれます。のんのターゲットは和服でした。この課題が、何と甚平。前回の検定でズボンは作ってるので、今度は上と。2級、準1級とクリアすれば上下揃うという寸法。 6
「ちなみに…何で和服?」
「ん、面白そうだから」
着てみたい、とかではないのですね。ひたすら面白そうだからと。だからテディベアにもユカタ着せちゃう訳ですが…何と言いますか、間違いなくウチの娘でございます。
しかし、さすがに甚平はシンプルギャザーパンツよりも難しかったようです。
事前に学校で貰ったという余り布で手順と縫い方を予行演習していましたが、公式の作り方解説 7が判りにくいと大文句垂れていました。なにせ、実は家庭科の先生でさえ細部まではご存知ない。先生と一緒になってあーでもないこーでもないとじたばたした挙げ句の検定だったようです。
それでも楽しくて、あるいは自分でやりたくてやるというのは強いもの。
前述のように受験最前線、模試だオープンキャンパスだと予定目白押しの中、更には部活 8も大詰め。「夏休みなのに休みがない~」と歎いていましたが、夏休み明けには無事に準1級の免状と、涼やかな水色の布で作った甚平(完成品)を持って帰ってきたのでした。
ちなみに、のんが予行練習として余り布で縫った物凄い配色の甚平は、柳が拝領することになりました。
どのくらい物凄いかというと、赤地に紺色のモンステラ柄をイメージして貰うとよいでしょう。そのうえ襟と袖部分だけこれまた別の色合いの松竹梅模様の布でつくってあるので派手さがプラスされているのでした。
まあ、寝間着ですから問題なし。何よりのんの力作ですから、有難く活用しています。気温が乱高下するこの時期の寝間着としては、甚平って調節が効いて丁度よい感じですよ。
…なんて書くと、親莫迦って言われるんだろうなぁ。
- 検定=職業に役立つ、という抜きがたい固定観念があるのは旧世代ってやつでしょうね。一時期流行したトンデモ検定と一緒にしてはいけないんでしょうが、幅広い教養の一環と考えるべきかと。
- 実技には時間制限もあったりして結構シビアです。タイムトライアルに弱い柳には絶対無理(笑)
- のん談。学校でトモダチから聞いて吃驚したとのこと。まあ、ミシンはともかくとしてウチには普通のご家庭にない道具がいろいろ転がっているのは事実。
- えらく好評だったそうで、全国大会へ出品されたために卒業ギリギリまで手許に帰ってこなかったそうな。
- 凝り性なのに関しては、おそらく旦那に似たものと思われます。柳は実用一辺倒で、細部はあまり気にしませんから(笑)
- だったら最初からそう言ってくれれば同じ布買っといたのに、とのんが歎いておりました。無地ならともかく、流石にプリント地の場合、同じ柄の布なんて一年経ったら探しようが無いですからね。
- YouTubeに動画もアップされています 。興味のある向きはこちら。https://youtu.be/7q26_G3vdBU
- のんは中学高校と吹奏楽部でフルートを吹いてまして、夏休みはコンクールもあるので大忙し。殊に3年生は引退直前の大舞台を控えているという状況。


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