トイレに挑戦のこと

 みっちゃんは昨今トイレへ行けるようになった。
 この際実に有難かったのが、ばあちゃんズのご尽力もさることながらNHKの幼児番組である。最初は出てくるキャラクターの名前を言ったり歌を歌ったりするぐらいだったが、そこはNHK、歯みがきやトイレトレーニングなども歌やキャラクターを用いて促すらしい。元来子供というものは「のりやすい」らしいが、歌でノセて誘導すると実にスムーズにいくようである。おかげさまで歯みがきもトイレも現在順調といって良い。ついこの間までおまるに苦戦していたのに、「トイレに行っといれ~♪」と歌いつついそいそとトイレに赴くみっちゃんを見るにつけ、受信料は伊達じゃないなと国営放送を見直した柳である。(<と思ってた矢先に受信料の横領事件である。何をやっとるかNHK・・・)

 以前話題にした「3ステップ使える!」がウリのおまるはめでたく踏み台へ移行したが、トイレの踏み台としては役に立たなかった。仕方なくこれは歯磨き用に洗面所へまわし、トイレは旦那が張り切って工作1をしてくれた。まだ時には夢中になって遊んでいて粗相することもあるし、便はなかなか座ってはぎばりにくいらしいのだが、この半年ばかりの進歩はめざましい。着々とおにいちゃんへの道をたどるみっちゃんであった。

お兄ちゃんへの道

 今月後半、柳はようやく産休に入ったが、ここまでが既にして平坦な道程ではなかった。
 みっちゃんの時に比べれば、貧血でしこたま鉄剤を飲まされるという事態は避けられたものの、妊娠後半(28W)に子宮頸管長(<子宮出口が閉じている長さ)が2.4cmという事態に陥った。「2.5cmを割り込むと入院安静なんだけどねえ~」と脅かされ(<要するに切迫早産)、「おとなしくしてますから入院だけはご勘弁」と平伏して診断書をもらい、自宅療養にあい努める次第となった。家事は駄目、みっちゃんを抱き上げるのも駄目、とにかく横になって安静というのも、3日を過ぎればほぼ拷問に近い。手持ちの本を片っ端から読みかえすのも限界に達したころ、ようやく通常の生活の許可が下りた。

 やれやれと思ったのも束の間、産道の細菌検査で溶連菌(<B群溶血性連鎖球菌、いわゆるGBS)なんぞが見つかってしまい、抗生剤のお世話になる羽目になる。いわゆる常在菌だから柳自身は完全に無症状なのだが、出産時うっかり新生児に感染した場合に致死性が高いため、出産までには駆逐しておかねばならない。切迫の間に飲んだ子宮収縮を抑制する薬とあわせて、みっちゃんのときよりも薬代が膨らんだ格好である。しかし、出産が命がけの大仕事であった時代(<衛生状態が悪かったり、妊婦の栄養状態も思わしくなかった時代は、女性・新生児が出産の前後に死亡することは決して珍しくはなかった。今だって絶無ではなかろうが)を思えば、獲得されてきた安全(<というか安心)はこういったあらゆるリスクを想定し排除していくことで支えられているのだろう。この際文句を言ってはバチがあたろうというものである。

 話をみっちゃんに戻そう。
 「子供を抱き上げたりも駄目」と言われた以上、自宅にいるからといってみっちゃんを手許に置くわけにも行かない。そんなわけで、みっちゃんはいつもどおり旦那とともに出勤し、旦那の実家で日中を過ごしている。まあ、柳が出勤している間とパターンは異ならない(<お迎えも旦那に頼むので帰宅時間が遅くなるが)ので、みっちゃん自身は飄々としたものである。「お兄ちゃんになるんだよ、どうするぅ~?」と言ってみても、今のところ何が何やらサッパリ状態らしい(<当たり前だ)。さて、柳が入院した時はどうなるのだろう。とりあえずばあちゃんズがいるのでどうにかなるだろうと楽観してはいるが・・・

ぱんだパンツの野望

 みっちゃんがトレーニングパンツに移行しつつある話は前項にも書いたが、3歳ともなればそれなりにファッションにもこだわりが出るらしい。
 なぜかお気に入りなのが「ぱんだパンツ」である。ぱんだ柄にえらく固執し、「クマさんパンツも可愛いよぉ~?」と促してみるが、「ぱんだパンツ!」とゆずらない。柳が胎の中に抱えているうちに柳のたれぱんだ2狂いにかぶれてしまったわけでもあるまいが。
 それにしてもなかなかはいてもらえないクマさんパンツが哀れになってきた柳は、一計を案じた。白いクマさんの耳と目に黒いフェルトを切り抜いて縫いつけ、強引に「ぱんだパンツ」に仕立てたのだ。
 ある朝、例によって朝のおしっこを済ませたみっちゃんに、

「ほらみっちゃん、ぱんだパンツ!」

 ・・・・この瞬間の、怪訝な顔はなかなか笑えた。しかしなんとか納得してくれたらしく、「ぱんだパンツ!」と喜んで(?)はいてくれたので一安心。現在に至るまでも一応「ぱんだパンツ」として通用している次第である。自分でも何をヒマなことをやってるんだと思わなくもないが、嫌がるロバを泉に連れて行くことはできても、水は飲ませられないものなのだ。

 話は変わるが、最近流行りの「甚平」は寝巻きとしてはなかなかリーズナブルである。着せやすく脱がせやすいし、第一涼しい。それでもって少々暴れてもお腹が出ないので、タオルケットも蹴っ飛ばしで布団の上を縦横無尽に転がりまわっても寝冷えの恐れがない。幸いなことにみっちゃんも気に入っているようで、朝起きた後もしばらくそれを着たがるほどである。
 ベビー用品売り場の腹当てつきパジャマよりはよほど機能的だと思うのだが、如何であろう?