よく飲み、よく出し、よく眠り

快便するのこと

 俄かに尾籠な話になってしまって恐縮だが、快食・快眠・快便は健康の基本でもあるので敢えて俎上に載せる。
 新生児の便は生後数日は胎便と呼ばれる黒~緑色の海苔状(<“糊”と変換するつもりだったが、あまりにもこっちが的確なのでこのまま)のシロモノである。で、退院する頃にはお馴染みの黄色になるわけだが、これが実に匂いがない。(ついでに言えば母乳の場合は特に匂わないらしい。比べたことがないので詳細不明だが)親莫迦に鼻が眩んだかと思われそうだが、こればかりは本当である。

 赤ちゃんが泣く。そんな時はついお乳かオムツと思いがちだが、暑いとき、背中が凝って気持悪い時、出そうで出ない便をぎばっている時にも泣くのだそうだ。1お乳を含ませ、オムツを替え、それでもなおかつ泣き続ける赤ちゃんに途方に暮れていると、俄かに快音が響く。そこで初めて、ははぁ、そういうことかと合点がいくのである。まこと、言葉が通じないというのは不便なものだが、抱いている腕に響くほどの音を立てたあと機嫌がよくなってうとうとしている赤ちゃんを見ていると、先刻までの不安が嘘のようでつい口許が緩む。

 だが、そこで赤ちゃんの笑顔に悦に入っていると…抱いている腕や服がえらいことになるので注意が必要だ。被害を最少に抑えるためには迅速な交換が不可欠である。おかげさんでピットクルー2は大忙し(笑)

快食するのこと

 生後一月半を超えて、みっちゃんはますます大きくなった。9月20日の時点で5170g…ついに5㎏の大台に乗り、一日平均50gのペースで増加中である。飲みっぷりを見ていると、確かにこれだけ飲んでて大きくならなきゃ嘘だという気もするのだが、母乳の場合は飲んだ量は体重を量らないと見えてこない。(<つまりは授乳の前後にすっぽんぽんにして体重を量るのだ。当然だが、グラム単位で出る乳幼児用の体重計がないと無理)このため本当に足りているかつい不安になるものだが、さしあたっては心配なさそうである。

 ところで、お乳のあとにはげっぷをさせるようにというが、これは赤ちゃんがお乳と一緒に空気も飲み込んでしまうためだそうだ。3
 特に哺乳瓶で飲ませる場合は気泡が混入しやすいので注意が必要とのこと。…とは言われても、これがなかなかうまくいかないものである。縦だっこをして、背中を軽く叩くのだが、どうにも反応が芳しくない。ただ、あまり神経質にならなくても、ある程度はおならになってちゃんと排出されるそうである。
 どうやら、みっちゃんはげっぷの分もみなおならにして排出しているんではなかろうかと思う昨今…。そうでなければ隣室にいても吃驚するくらいの快音は説明がつかないんではなかろうか。

快眠するのこと

 新生児期の赤ちゃんは、一日18時間から20時間は眠っているものだそうだ。つまり、お乳飲む間くらいしか起きていない計算になる。実際みっちゃんも眠るだけ眠り、お腹がすけば泣いて乳をねだり、満腹すればまた眠るというサイクルであったが、そろそろ昼夜の区別がつき始めたようである。昼間目を覚ましても、泣きもぐずりもせずに手足をぱたぱた動かして一人で遊んでいるようになった。

 で、これがなかなか見ていると面白い。起きぬけは、いっちょまえに伸びなんぞをするのである。腕を突き上げて「うーん!」と傍からアテレコしたくなるような踏ん張りの表情をしてみせたり、両拳を顔の横にもってきて、両足を骨盤ごと浮かせたかと思うとぐりんぐりんとぶん回すのである。なかなか豪快だ。

 しかも、往々にしてそのままとろとろと寝入ってしまうのだから流石である。

 また、お乳を飲みながらだんだん眠くなるのか、口だけはちゃんと動いているのに両眼はほとんど閉じていることもしばしばである。何かのはずみで口が離れてしまうと、数回口をもぐもぐさせて完全に目を閉じてしまう。うちではこのときの顔を「お地蔵さん」と称しておねむのサインと見做している。実に満足そうというか…穏やかな顔で、思わず「かっわいい可愛いお地蔵ーさん♪」(<「魚屋さん」のフシで)と歌いたくなるくらいのものだが、そこですかさず「金貸してくれー」とツッコミをいれるのは、誰あろう旦那である。それを言うなら「お自動さん」だ(<ネタとしては古すぎだ。誰もわからなかったらどーするつもりだったのだろう)それ以前に息子にたかるな、息子に(- -;;4

ひたすら寝たおすのこと

 新生児の体重は、(飲むよりも)胎便や腎臓・皮膚・肺からの水分の排出が多いため、生後3~4日目くらいに出生時から3~10%減少する(生理的体重減少)。で、その後増加に転じるわけだが、みっちゃんの体重は3626gから3300gにまで減少し、退院(初回)時も増加に転じなかった。それというのも、生後2日目あたりは柳が心配になるほどひたすらに寝たおし、まったくお乳を飲んでくれなかったのである。飲ませようにも、抱き上げても熟睡してほとんど反応がなかったのだ。

 いくら出生時の蓄え(<3キロ半は新生児としては十分にデカい)があるといってもさすがに12時間近く飲まず食わずで、そのくせ出すものだけはしっかり出していたら脱水を起こす。挙句、血糖値が低下して2度ばかりブドウ糖のお世話になるていたらく。さすがに柳が青くなって看護婦さんに相談すると「お乳のリズムができるまでは、無理に起こしても1飲ませてあげてください」と起こし方のコツ3を教えてくださった。お陰でどうにか飲ませることができるようになり、まずは胸をなで下ろす。
 しかし翌日、そのリバウンドか夜中の3時までまったく寝てくれなかった。なかなかうまくいかないものである…。

 その後、2度目の退院をするころにはお乳のリズムもおおむね出来上がったようで、体重は順調に増加している。授乳するために抱き上げると、明らかに重たい。健診のときの体重が楽しみだ。

黄疸になるのこと

 話を入院中に戻すが、生後3日目ごろからどうにもみっちゃんの顔が黄色っぽく見えはじめた。暢気に気のせいかな~などと思っていたら、いきなり小児科に呼び出しをうけて泡を食うことになる。

 お子さんをお持ちの方には既に見当がつかれたかと思うが、いわゆる新生児黄疸である。黄疸といっても肝疾患によくあるアレではなく、新生児に生理的に出現するもので生後3日ごろから出現、7日ごろには自然に消退する。出生直後にはビリルビンの代謝が大人ほどうまく機能しないためで、いわゆる病気ではない。ただしごくまれに病気によるものがあったり、ビリルビンが脳に沈着することで脳障害が残ったりというリスクがあるため、現代では光線治療1を行う。

 で、この光線治療…照明つきの保育器に入ることになるのだが、要するにおむつ一丁でぼーっと日光浴するのである。昔は本当に日光浴させたらしいが2、現在は人工灯。この際目は保護するのだが、病院によっては赤ちゃん用のちいさなサングラスを装着するらしい。実は一寸だけ期待していたのだが(<不謹慎…)この病院は医療用のテープで保護していた。確かに、サングラスでは何かのはずみで外してしまったりすることもあるだろうから、保護の方法としては確実かもしれない。

 24時間を1クールとし、時間をおいて再検査したときにビリルビン値の再上昇があればもう1クール治療を行う。この間、3時間おきの授乳のほかは保育器から出せない。大人だったら結構なストレスだろう。事実、授乳のときに部屋に帰ってきたみっちゃんはいたく不機嫌で、授乳するまでに結構手間をくった。

 1クールの治療後、わずかながら再上昇があったものの基準値以下であったとのことで退院が叶ったが、数日後に外来受診した際に基準値を超えたため再入院となる(2泊3日)。もう1クールほど光線治療をしたわけだが、その後の経過は良好。生後数日の体重増加が思わしくなかったことも含めて3健診前に数度外来受診する羽目にはなったが、さしあたっては落ち着いた。