保育園騒動 其の参~きわめつけ

 「男の子は病気をしやすいから大変よぉ~」などと先達は脅かしてくれるが、みっちゃんは突発性発疹と水疱瘡、いわゆる通過儀礼に近いモノはやらかしても不明熱(原因がよくわからない熱)のようなものはあまりなかった。やんちゃだがそういうあたりは親孝行だと親莫迦な自慢ができていたのも、所詮は感染源との接触が少なかった所為らしい。
 手始めは、まあ季節の変わり目にはありがちな風邪である。今迄はこれくらいなら受診するまでもなく治ることもあったのだが、折悪しく入園式直前。咳も出ることだしとりあえず受診した。薬を頂いたのはいいが、去年水疱瘡をやらかした際、抗ウイルス剤を飲ませるのに往生した記憶に頭を抱えることになる。
 とにかく飲ませるしかない、と腹を括って粉薬を小皿にあけて数滴の水で練る。去年はこれを有無を言わさず頬の内側に塗ったのである(<短時間で勝負がつくし、必ずいくばくかは飲み込む。母上直伝の技)が、今度の薬はピンク色でほんのり苺に似た香りがする。

「ほらみっちゃん、イチゴ味。コンコンが楽になるよ~?」

 これぐらいで飲んでくれたら世話はない!と思いつつ勧めてみると、素直に口をあけた。大好きな牛乳で押し込んだ格好だが、何とか自分から飲んでくれたのである。成長したな、みっちゃん!と相変わらず親莫迦街道驀進中な感慨を抱いた柳だが、冒頭に書いたようにあくまでも手始めでしかなかった。

 無事に(<力いっぱい語弊があるのだが、このことについてはまた項をあらためよう)入園式を済ませたみっちゃんだが、数日後、おそろしいことを呟いた。

「左の耳が聞こえない!」

 発熱の後である。中耳炎を疑って(<柳も既往がある)耳鼻科を受診したが、そこまではいっていなかったようだ。耳垢を少し取ってもらって後、訴えはなくなった。・・・診察でかなり怖い思いをしたようなので、調子が悪くても言わないのではないかと心配したが、その後聞こえのテストをしてみたところ問題なし。これについては決着した。

 しかしその数日後のある日、そろそろお迎えの時間という頃になって保育園から電話がかかった。嘔吐と下痢である。迎えに行ってみると笑いながら走ってきたものの、結局その日から嘔吐でまともに物が食べられなくなり、またまた受診と相成った。
 お腹にくる風邪、という診断で、嘔吐止めや整腸剤を処方してもらうことになる。当然保育園はしばらくお休み。悪いことには柳自身もその風邪を貰ってしまい、ボロボロの状態であった。

 結局、みっちゃんの風邪は家中に蔓延し、4月後半から5月上旬にかけて、家中病人だらけというていたらくになった。この農繁期まっさかりに大変なことになったものだ。げにおそろしきは子供の風邪である。人の集まる所は往々にして病原菌の巣窟なのだが(<特定の場所を悪く言うつもりはない。これについては自衛が基本である。念のため)ここまで強烈とは思わなかった。柳自身にも油断があったことは否めない。

「外から帰ったら、うがいと手洗い!」

 抗菌グッズで武装するより、これが一番なのである。

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果てしなきチャレンジ~保育園騒動 其の弐

 みっちゃんを保育園へ通わせるにあたり、いまだ二つの不安材料が残っている。食事とトイレだ。まあこればっかりは焦っても良くないのは分かりきっている。トイレについてはまた後日に譲るとして、とりあえずは食事の話。
 お定まりの偏食・遊び食いの呪縛は、みっちゃんとて避けきれるものではなかった。但し、偏食というには語弊があろう。食べられないものというのは具体的にあまりなく、むしろ気分で変わると言ってよい。気が向けば何だって食べられるのだが、「ご飯と納豆と牛乳」を自分で決め込んでしまっていて、他のものにあまり手を出したがらない。そして、集中力が続かないので食事の最中でも遊んでしまう。周りの大人が早く食べさせようと手を出すので結局自分で食べられないままなのである。(<人はそれを過干渉と呼ぶ・・・)
 何とか食事に集中してもらう術はないものかと随分知恵を絞った。ののじのカトラリにみっちゃんシールを貼ってやると心もち集中力がアップした話は前回書いたが、今度はこんなものを試してみた。

【エジソンのお箸】人体工学的な設計で、正しいお箸使用法をもっとも自然に早くしつけができます。

 ・・・などという売り文句を頭から信じたわけではない。が、みっちゃんがふとしたことからお箸に興味を持ったらしいので、変な持ち方を覚えてしまうと厄介だと考え購入に踏み切った(<というほどえらい値段の代物でもない・・・)次第である。みっちゃんはいたく喜び、食事に対する集中力が飛躍的に向上・・・したりはしていないが、つまみ動作が容易なので気に入ったらしい(<とどのつまり、フォークで刺すよりも箸でつまむほうがツブシがきく)。ことに黒豆がつまめるのがえらく嬉しかったようだ。さらにはご飯をミニ俵むすびにしてやることで、ご飯に関しては一応最後まで自分で食べられるようになった。結果としてはまずまずといってよいと思う。

 後は、おかずも含めて最後まで自分で食べられるようになるのが目下の課題であろう。できればついでに「食事の時にテーブルに肘をつかない」ことを覚えてくれればなお良いのだが・・・欲を言えばきりはない。何とも前途遼遠である。

 そしてさらに問題を複雑化させているのは、今更だがやきもちである。
 食べるほうではなく、いわゆるjealousy。たっくんが野菜ジュースやヨーグルトを食べ始めると、ご飯そっちのけで同じものを欲しがったり、やっちゃいけないコトをあえてやってみせる(箸で牛乳をかき回すetc.)。いつもはばあちゃんズべったりのくせに、柳がたっくんをかまうのが時として面白くないらしいのだ。まあ、こればっかりは無理もない。むしろ自然な反応というべきである。
 「たっくんに食べさせるみたいに、みっちゃんにも一口か二口食べさせたらいいよ。それで気が済むから」とは、ばあちゃんズのアドバイスである。

0500328

保育園騒動 其の壱

 みっちゃんはこの4月から保育園に行く予定である。柳がその昔お世話になった保育園にみっちゃんもまた通うわけだが、つい身構えてしまうのが準備用品の数々である。
 さしあたってはお昼寝用の組布団、お弁当セット(弁当箱、カトラリ、コップ、巾着袋)、通園カバンにループつきお手拭タオル。これはまあ良い。難儀なのが衣類持ち物その他への名前書きである。何ゆえに難儀かというと、柳は自分の字が大嫌いなのだ。威張って言うことではないが、柳の悪筆は筋金入りである。小学校一年の時に一生懸命書いた読書感想文を字が汚いという理由で再提出をくって以来、手書き礼讃主義とはきっぱりと訣別した。文章を書くことは好きだが、文字を見られることについてはいまだに強い抵抗を感じるのである。

 しかし、現在は有難いことにパソコンという文明の利器がある。オリジナルシールを大量に作ってぺたぺた貼ってしまえばよい。昨今安価に「お名前グッズ」を注文できるシステムもあるようだが、なにせ名前をつけなければならない物品は多岐にわたるので、勉強がてら自分で作ってみた。
 現在はシール用紙も様々で、弁当箱やカトラリにも貼れる耐水タイプ、透明なカバーシールで保護できるタイプ、アイロンで転写・接着できるものからプリンター印刷に耐える布タイプシールまでよりどりみどりである。

 みっちゃんも、自分の名前シールをいたくお気に入りのようである。早速お弁当セット用に買ったカトラリに貼り付けてやると、いつもより食事に集中してくれた。この勢いで、4月までにはちゃんと一通り食べられるようになってくれれば良いのだが・・・・こればかりはあせってどうなるものでもない。

050228