魔法の概念

在来魔法と古代魔法

 この世界独自の魔法体系として在来魔法(ネイティブ・マジック)があり、これを行使できるものを総称して魔術者という。行使できる能力によって厳格な階梯が存在する。

 それに対して古代魔法(エイシェント・アーツ)と呼ばれるものがある。伝説上のものとされており、行使できる人間は殆どいない。400年前に存在したある魔法司がこの魔法を行使できたと言われるが、定かでない。ただし、行使できるかできないかは、在来魔法における階梯には関係ないとも言われている。

古代魔法の魔法書「LUX AETERNA」

 大陸中に十数冊が現存すると言われるが、その所在は明らかでない。これを読み、理解し得た者は古代魔法が行使出来る。

在来魔法における階梯(1)

  水系、火炎系、大気系、大地系いずれか一種類の魔法を行使できるものを<術士>と言い、一般人でもこの階梯に先天的に属すものは少なくない。多くはその能力を職業に生かしてゆく。その一段階進んだものが<術師>といい、炎術師アークはこれに属する。

 そのさらに一段階上に<術司>があるが、このレベルに人間が到達することはまずない。四元素系の妖精のみが到達する階位である。当然、水精ウンディーネに属するミラは水の術司としてのレベルにある。ちなみに風に関しては術師レベルの能力を有するが、随意的には行使出来ない。

 この3階梯を総称して術者と呼び、魔術者と区別する場合もある。

在来魔法における階梯(2)

 狭義では複数系統の魔術を行使できるものを魔術者という。
 この魔術者の階梯は、基本的には術者と同じであるが、かなり細分化されている。これが出来たらこの階梯、という基準が存在し、本来は勝手に階梯を名乗ることは出来ないが、他者を評価する場合に大体このくらいのクラスという表現で階梯を用いる場合もある。
 以下11階梯。

階級名称読み備考
無位魔術士ニオファイト・ウィザード
中位魔術士ジェレーター・ウィザード
高位魔術士セオリカス・ウィザード
無位魔術師ニオファイト・メイガスハル・カティス
中位魔術師ジェレーター・メイガスアルスター少尉・レティシア
高位魔術師セオリカス・メイガスレヴィン(青猫)
小魔術司メイガスマスター・マイナー
大魔術司メイガスマスター・メイジャー
小権魔法司ポータル・ソーサラー・マイナー
大権魔法司ポータル・ソーサラー・メイジャークーンツ
魔法司グランド・ソーサラー雷鴉(ナイジェル)
在来魔法の魔術者における最終階位であり、 人間が純粋な精神生命体へ昇華する前段階。

在来魔法の概念(1)

 在来魔法とは、つまるところ異界の存在と契約を交わしその力を借りることである。契約と言うからには当然助力の代価が要求されるわけだが、この際人間から異界の存在へ支払われるものが、RPGでいうところのいわゆるMP、魔法力と言われるエネルギーである。

 これは人間だけでなくすべての生物が持つ生命エネルギー(Odと呼ばれるもの)の一形態であり、本来魔法の行使の可否にかかわらず、全ての人間が持つものである。しかし魔術適性の低い人間は全エネルギーのなかに占める魔法力の割合が低く、助力者に対して与えるエネルギーが十分にないためにある程度以上の魔法が行使できない。また、異界の助力者と接触を持つ作法についての知識がない場合(要するに魔法についての勉強をはなからしてない場合)にも、魔法が契約によるものである以上、魔法の行使ができないことになる。(これについては例外もある。後述)

在来魔法の概念(2)

 魔法力の基を成すものが生命エネルギーである以上、限界を超えた魔法の行使は、それをなす者の身を滅ぼすことになる。魔法の行使とはすなわち、生命エネルギーそのものを削る所業だからだ。だから、気力体力ともに落ちている状態での魔法の行使は非常に危険なものと言わざるを得ない。

 では、高位の魔術者が強力な呪文を瀕回に用いても平気でいられるのは何故か。これは、魔法力自体の許容量が大きいのもあるが、なにより一つの呪文にかかるエネルギーの問題である。事は契約であるから、双方の力関係次第で異界の存在をいわば安くこき使うことも可能なのである。もしくは特定の助力者と独自の契約を結び、己の魔法力以外のものを代価として助力を乞うこともできる。これがいわゆる召喚魔法で、作中のアルスター少尉とミラの関係がこれにあたる。(・・・・・ただし、あのアットホームな雰囲気がかなり異例であることは間違いない)

 ただし、召喚魔法に応じる存在はごく限られている。一般に直接言語でコミュニケーションをとれる種族のみであり、そうでない存在とは呪文と言われる接触作法にのっとって交渉を行うしかない。

 高位の魔術者(メイガスマスターもしくはソーサラークラス)になると、既存の作法(呪文)にとらわれない新たな契約方法を確立することもできる。ただし、感覚としては宇宙人との会話に近いものがあるから、余程研究に研究を重ねなければ実用レベルの呪文とはならない。

「異界」といわれるもの

 「異界」とは在来魔術において契約相手となる助力者の世界を総称する言葉である。それが一つなのか複数なのかはいまのところ分かってはいない。
 つまり、光神レクサスや闇神ヴァルシスのように人間世界で神として崇拝される存在が本来属する世界と、ミラのように一人の人間のファミリエールとなりこの世界に留まったり、一般の魔法で助力者となったりする妖魔精霊の類の属する世界は実は別のものなのかもしれないが、その周辺はまだ高位の魔術者の間でも明らかにされていない。

 また、ひとくちに「異界」と言っても、四元素系の精霊のように、自然な状態でもこの世界に直接間接に実体化できるものを含む事でも分かる通り、決してこの世界と隔絶した存在ばかりとも言えない。つまりは便宜的に「異界」を称するが、かなりおおざっぱな話である。しかし、この「異界」との関わりこそが在来魔法の究極の目的であり、魔法の行使などは本来些末的な事柄なのである。

 異界の存在は一部例外を除き人間の言語は理解できない。それと同時に人間も彼らの言葉を理解できない。その状況で契約を成立させるための共通言語が呪文と呼ばれるもので、一種の接触作法と思えば良い。

 呪文は大部分が魔法書より伝えられたものであるが、自分で呪文を作り出すことのできる者もいる。前述の通り、呪文を作り出すことができるのは魔術司メイガスマスタークラス以上。

光に近きもの

 基本的に、異界の者との接触作法(=呪文)を知らなければ魔法は行使できないが、一部の異界の者に非常に親和性が高い、ありていに言えば好かれやすい体質の人間が存在する。

 俗に「光に近きもの」と呼ばれる彼らは、無意識のうちに異界の者を呼び寄せてしまい、魔法力に相当するエネルギーを奪われる。奪う方は害意が無い場合が殆どで、エネルギーの返礼としてその能力をこれと言った目的もなく行使する。これは、規模こそささやかなものだが魔術者が術の制御に失敗したときの暴走状態に近い。・・・ゆえに、人間には甚だ迷惑な話であり、不審火等の原因となることもしばしばである。

 先天的な術士はさしてまれな存在ではないが、そのほとんどがこの「光に近きもの」と呼ばれる者達である。規模の大小は個人差があるが、あまりにも被害が大きい場合、率先して魔術を学んでコントロールするケースが多い。

 ちなみに、伝説の魔法司レクサール=セレンの名、「レクサール」は「最も光に近きもの」の意であるが、レクサール=セレン本人にそういう資質があったのかどうかについては、本人がそれを否定したと伝えられる。

 むしろ、作中の「エテルナの子供たち」は先天的にメイガスクラスの魔術者であり、「光に近きもの」といわれる体質が顕著に出た形と言える。

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