おまるに挑戦のこと

前項「みっちゃん、歌うのこと」を書いた時点ではトイレが課題、という話をしたが、柳が悪阻と切迫早産で身動き取れない間にみっちゃんは見事におまるを征服した。・・・まあ半分ほど。

 というのもおしっこのほうはちゃんとできる(なんせ夜中の3時半にでも「・・・・おしっこ。出る」と柳をゆすり起こしてくれるくらいだ)のだが、どういうわけか大きいほうは立ってオムツの中へぎばってしまうのである。サインは明らかなのでおまるに誘ってはみるのだが、本当に出そうなときは泣いて抵抗されるので致し方ない。「ぱんだパンツ(<お気に入りらしい)が汚れるよー、はけなくなるよー?」と促してみるが、効果なし。ジレンマに陥って結局ぎばり損ねるので便秘しかねない。まあ、GWごろ初めておまるに座り(忘れもしない4月29日)、あっという間にオムツからおしっこが消えた事を思えば、あまり急き立てるのもよろしくないかと気長に構えている昨今である。

 ベビー用品は目ん玉飛び出るほど高価い、というのは通り相場だが、おまるも例外ではない。ミッフィーだのミッキーマウスだの、キャラ物に至ってはたかがおまるの癖に新渡戸さん1がすっ飛ぶ(<もうすぐ変わるんでしたね)お値段だ。しかし必要なものは必要であり、春先ぐらいだったか「おまると補助便座、踏み台の3ステップ使える!」というのがウリではあるがわりとシンプルなものを購入した。新渡戸さんとは言わないまでも、漱石が手をつないで出て行くぐらいのお値段ではあった。
 しかしやはり最初からうまくいくものでもない。そもそも何ゆえか怖がって座りたがらない。まあなりゆきに任すさね(<つくづくこればっかり・・・)、と暢気に構えていると、旦那から「あっち(昼間を預かっていただいている旦那の実家)じゃおまるにおしっこできてるみたいよ」との情報。

 柳「おまる、向こうにも置いてたっけ?」
旦那「うん、百円ショップで買ったやつ」
 柳「座るの?おまるに?」
旦那「パンツ脱がしてやったら結構いそいそと座るって」

 うーむ、おまるが気に入らなかったのだろうか。そんな会話があって数日、旦那がまた百円ショップで同じものを買ってきた。まこと、プラスティックがおまる型に成形されただけの、フタすらもないシンプルさである。ベビー用品売り場にあるのは中桶がはずれて洗える仕様のものが大半だが、反面全体として重くてかさばるという難点もある。これはこれで理にかなっているなぁと思いつつ、促してみると・・・・まさに「いそいそと」座ってくれた。
 以来、おしっこはどんどんおまるにできるようになり、昼間はトレーニングパンツにすることも多くなった。箱詰めになったままのお高価いおまるが可愛そうな気はしたが、このさい黙殺するよりない。

※後日、軽さが災いしてせっかくおまるにできたおしっこをひっくり返してしまったり、おまる自体がやや小ぶりなので座りにくそうになってきているのを見計らって件のおまるを出してみると、今度は怖がらずに使ってくれた。やれやれ。

歌うのこと

 前回の更新からごっそり間が開いてしまったのは、前半は多忙で後半は悪阻の所為である。順調に行けば、みっちゃんはこの秋晴れてお兄ちゃんとなる次第。みっちゃんの時よりはややおとなしいとはいえ、血反吐はくほど嘔吐を繰り返す悪阻は相変わらずで、一頃は体力と体重は坂道を駆け下る勢いであった。その間では休暇をめぐって上司と陰険な衝突をやらかしてたりもするのだが(<柳のほうがふてぶてしくなった所為か前ほど応えなくなったとはいえ、やっぱり時々キレかける)
 何を食べても美味しいのに、途端に気持ちが悪くなって食べたことを後悔するので自然と食べなくなる。昼食は未だにカロリーメイト(<1本100kcal×2)と野菜ジュース(<愛飲していた200ml入りが量的に飲めなくなった為、125mlの幼児用…ありていにいえば本来みっちゃん用に買い置きしていたもの)というていたらくだが、そろそろ安定期に入っている現在では少し落ち着いて、体重減少にも歯止めがかかった。
 この状態ではみっちゃんの世話もままならず、旦那やばあちゃんズ×2の強力なバックアップなしには到底乗り切れなかった。手を合わせることしきりだが、この間に旦那は随分とみっちゃんを寝かしつけるのが上手になったようだ。以前は、「乳がないから難しい」とか何とかぼやいていたが、どうにか旦那なりのねんねスキルを習得したらしい。
 そしてみっちゃん自身も、柳の状態がいつもと違うことをそれなりに理解してくれているのか、ほんの少しだけ物分りが良くなってくれたような気がする。…あくまでも気がするだけかもしれないが。

 それはさておき、みっちゃんのボキャブラリーは順調に増殖をつづけているようである。数字が読めるし、一通り家族を呼べるようになったし(<ばあちゃんが4人もいるので呼び分けが難しかったようだが)、物の名前、色の名前等も(時々怪しいが)概ね判るようだ。自分の欲求を正確に言葉で伝える、というあたりまでは行かないが、食べ物の要求だけは(<ヤクルト、牛乳、そしてお乳…)きっちり突きつけてくる辺りはさすがと言うべきである。…ついでにトイレの要求を、しかも事前に教えてくれるようになると言う事はないのだが…まあこれからの課題というところか。

 並行して、最近めざましいのが歌である。「雪やこんこん」(<正式なタイトル不詳…)や「春の小川」、子守唄、NHKの「おかあさんといっしょ」で流れる数々のお遊戯ソングを歌い、しかもエネルギッシュに踊る。…まあ、そこまでなら微笑ましいで済まされるのだが、よく聞いてみると、旦那が車の中で聴いている嘉門達夫のCDに収録されている曲も歌っているのである。ラインナップとしては「あったらこわいセレナーデ」「ヤンキー兄ちゃんのうた」「鼻から牛乳」「ゆけ!ゆけ!川口順子!!」…etc. 実際面白いのだが、せめてもうちょっと選曲を考えてくれ、と旦那に嘆願する昨今である(<しかし、ぐじモードみっちゃんを宥めるには絶大な威力があるらしい…うーむ複雑)。…まあ、柳の車とて池田聡か杉山清貴、さもなければラルクかポルノグラフィティ(<シングル「メリッサ」一枚でころんだ。理由はわかる人にはわかる…)ばかりなのだからあまりうるさいことを言えた義理でもないのだが。

喋るのこと・2歳編

 この秋にみっちゃんの弟か妹をこさえ損ねて暫く凹んでいた柳であるが、みっちゃんの語彙が少しずつ増えてきて何となく慰められている昨今である。
 なんといっても驚いたのが先日柳が仕事から帰ると例によってパタパタと走り出ながら「おかーりー」(<どうやら「おかえり」の意味らしい)と言ってくれたことであろう。誰か帰ってくるたびにそう言って出迎えたらしい。自分でも喋れることが嬉しいのだろう。
 また、TVで魚釣りの画面が出ると「タイタイ」と言ったり、子供が寝転ぶと「ネンネ」といったり、どうやら言葉と概念が結びついてきたらしい。夏頃からしきりと物を指差しては名前を尋ねていた蓄積が表出してきたというところだろうか。

 「みつきくん!」と呼ぶと、「はい!(<あい、とも聞こえるが(^^;)」と返事するようになったのもつい最近のことである。旦那によれば「ぐじ太郎くん!」と呼んでも返事するらしいが、あまりアイデンティティに歪みを生じさせるような実験はして欲しくないものである。

031119