大侵攻

大侵攻といわれる大陸史上の事件について。

解説

ツァーリは大陸中央部、ギルセンティア山脈の南に位置する王国である。
それまで国の規模としてはそれほど大きくはなかったのだが、大陸暦737年・時の王弟ヴォリスが主導して周辺四国へ侵攻を開始。瞬く間に大陸に冠たる大国へ変貌した。一連の戦乱は大侵攻と呼ばれる。

最も悲惨だったのがシェノレスで、王家は海という防壁に拠って徹底抗戦の構えを取ったものの、敗北。王城は焼き砕かれ、王族と高位の貴族は鏖殺された。ただし神官府はシュテス島が侵攻を受けた段階で降伏を決めていたため、実権は奪われたものの破壊や略奪を免れた。国都であるエルセーニュが王城を除いて被害を最小限に抑えられたのはこのためである。
以後、シェノレスの統治はツァーリから派遣される総督に委ねられ、海上交易の利益の殆どを吸い上げられる。
当然、不満分子は存在し、緋の風神と呼ばれた神官アレンはそれらを糾合して離島に立て籠もり、対ツァーリのゲリラ戦を展開した。当時建設中だったカザル砦を襲撃、その完成を半年は遅らせたといわれる。
ところがヴォリスが降伏した神官府の神官を大量に逮捕し、処刑を仄めかしたためにアレンは単身投降、最終的には処刑されている。
アレンの処刑後、離島に立て籠もっていた者達は核を失い抵抗を断念、組織的抵抗はこれを以て終焉した。

北のノーアとは同盟ということになっているが、その同盟条項は至って不平等であった。ただし代々のノーア公はツァーリの北方への関心の薄さを利用してこれをかなり有名無実化している。

シルメナ、リーンは領土の割譲はもとより重い朝貢義務を課せられた。ただしいずれも王統は存続を許されている。

シェノレスの抵抗が熄んで程なく、ヴォリスも歿する。謀殺も囁かれる急死であった。この王弟ヴォリスを祖とする一族が、宰相家として代々ツァーリ王家を支えていくことになる。

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