世紀末の魔術師

 コナンの劇場版もついに3作目。第1作「時計じかけの摩天楼」で連続爆破犯と対峙、第2作「14番目の標的」で連続殺人犯と対決したコナン、今度の敵は怪盗キッド!ときたもんです♪

 「-摩天楼」は、新一君と蘭ちゃんのらぶらぶっぷりが微笑ましかったのと、息をつかせない展開、舞台のスケール、クライマックスへ向かって盛り上がるシナリオ、どれを取っても文句なしによかったのですが、第2作「14番目の標的」で、それなりに気合は感じられるものの一寸ネタが苦しかったので実の所少しだけ心配していたのです。

 しかぁし!心配無用!
 「-摩天楼」を越える一本でしたね。ちょっちファンサービスし過ぎだぞ(^^;と思われる部分がなくもないのですが、年に一本の劇場版だからそれも可!ということで♪

 何と言っても今回の目玉は西の探偵・服部平次と怪盗キッドの出演ですね。この二人の出演で目の色をかえた方も少なくはないのでは(^^;(<同行のHちゃんはまさにそうだった)怪盗キッドが出る!ということは、とりもなおさず山口氏Voiceが聞ける!ということですしね。

 それでは、順を追ってまいりましょう。

インペリアル・イースター・エッグ

 実は柳、こういうカラクリモノ大好きでして・・・(^^;
 今回のストーリーの軸になるロマノフ王朝の秘宝・メモリーズ・エッグ、時価八億。いや、下々の者には縁のないものですから別にいいんですが(^^; ページめくる動きまでやってくれるならもののついでにオルゴールでもつけてくれりゃいいのに、と余計なコトを考えてしまいました。丁度宝石箱にいいサイズですね。パンフの巻末にこのレプリカが5000円で通販する旨、掲載されておりました。で、笑ったのはその断り書き。

「映画に出てくるような特殊なメカはついていません。小物入れとして使えます」

 ・・・やっぱりいるんでしょうねえ。「動かねぇぞ!」とか「何も絵が出んぞ!」とか言って通販担当者を困らせる莫迦が(笑)ま、映画を見て素直に感動したお子ちゃまが欲しがるというケースも考えられますかね(^^;(<それにしても5000円か・・・)
 関係ありませんが、某「もののけ姫」のパンフにはサンのお面が何千円だったかで通販してました。誰か買ったのかなぁ。

よっ!平成のアルセーヌ・ルパン♪

 メモリーズエッグを盗むという予告状でストーリーの幕を切って落とした怪盗キッド。

 あのキザっぷりといい、やり口といい、まさに平成のアルセーヌ・ルパン(^^;コミック「まじっく快斗」のボケっぷりはどこへやら、今回の事件を裏から操り、落着したときには見事目的を果たしているという好敵手ぶり。おまけに動機はいつもの宝石集めではなくて美しき女相続人の為ときた(爆)

 ロマノフ王朝の宝物を専門に狙う強盗「スコーピオン」とそれに立ち向かうコナンの対決を、一寸距離をおいて眺めつつ、要所要所で介入するスタンスは実に「かっこいい」の一語に尽きますね。まあ、事態を全て掌に収めていたわけでもなくて、途中狙撃くらって(<一瞬マジで心配してしまった)大阪湾に墜落したりとそれなりの危険もあったわけですが。

 大阪から東京・横須賀への海路、船上の殺人事件に目暮警部以下ふたりが乗り込んできます。この時、高木刑事の右目上には絆創膏が。おまけに今回時々悪役ヅラな白鳥警部。

 どっちかがキッドで、どっちかがスコーピオンが化けてるに違いない!という柳の予測は半分アタリのような、はずれのような。一言申さば、高木刑事の絆創膏は完全なカマシだったということですね(^^; (<よくよく考えてみれば、犯人がそれまでに名前のでなかった誰かだった例なんてひとつもないんですよね。ひっかかりましたわ(^^;)

今回の犠牲者

 東の工藤新一の対抗馬、西の高校生探偵・服部平次登場!
 メモリーズエッグが大阪で公開され、そこへキッドの予告が来た本当の理由は、スタッフが何が何でも服部平次を出したかった所為じゃないか? というのは別にうがった見方でも何でもないような気がします。(<まさかキッドを通天閣の上で踊らせるためじゃあるまい)

 コナンの正体を知っているという強味で、ちくちくと苛めて遊んだりもしてますが、コナンの頭の回転についていくことができ、しかも的確なサポートをすることができるのはこの御仁をおいては他にいないでしょう。文句なしの名コンビですね。

 キッド追跡のくだりはまさにそれ。子供の格好なもんで機動力と言えばスケボーだけのコナンをバイクに乗っけて、大停電の大阪を疾駆するあたりはいいシーンでした。
 ・・・が、直後。トラックにはねられてリタイア。後事をコナンに託して退場。

 ・・・・・・・・・普通は死ぬぞ!?

 幸いにして(<だからあの状況だったら普通、確実にアバラ折ってるって)捻挫で済んだそうですが、その後はお気の毒にもワンカットもなし。柳としては追跡劇で見せ場を取ってるからまーいいか、という所に落ち着いたのですが、平次Fanは怒っただろーなぁ・・・・

しっかりしろ、名探偵!

 今回、不用意な発言から(またしても)蘭ちゃんに新一なのではと疑われる羽目になり、しかもそれにラスト、蘭ちゃんが言い出すまできっちり気づいてないという大ボケっぷりが見事でした。しっかりしろ名探偵!最近隙だらけだぞ(^^;

 蘭ちゃんに詰問され、「・・・・限界だな」と肚を括るコナン。直後、キッドの芝居に助けられます。ちなみにそのあとの問答は名探偵と怪盗の対決(<結局、別に敵対してた訳ではないけど)のフィナーレにはふさわしい括りでした。

 新一の姿で現れたキッドが鳩を次々と取り出し、飛び立つ鳩と共に姿を消すシーン・・・いかにも怪盗らしく華麗でよかったんですが、一歩間違えばヒッチコックの「鳥」 (笑)(<誰か絶対にやるぞ、このネタ・・・・)

ま、しかたないか

 今回あまり目立った出番がなかった灰原 哀ちゃん。彼女がSTORYの中心に入ってくるようになると本筋に突入してしまうので、無理もない処でしょう。まあ、イミのないかっこつけではなく、自然体に存在感を主張してくれたあたりでマル、ということで♪

あのね、蘭ちゃん・・・

 コナンがふと漏らしてしまった一言でまたしてもコナン=新一説にとりつかれる蘭ちゃん。服部君と和葉ちゃんの仲の良さにアテられた所為でもありますまいが、今回の執着ぶりはちょっち怖いくらいです。(<効果の所為ってのもあるだろうけど)

 推理を展開するコナンを少し離れた処からじっと見つめ、その疑惑を確信に変えていくシーンが随所にあり、それがラストシーンに繋がっていきます。最後にはお約束なオチが待っているわけですが、その会話の間の取り方が実に良くて、ただの「お約束」にとどまらないシーンに仕上げているのは見事でした。ついでに言えば、キッドが割り込んでくるタイミングも絶妙ですね♪

今回のヒロイン

 おそらくは今回のヒロイン・香坂夏美さん。なぜかパリで菓子職人をしている美しき女相続人♪
 良家のお嬢様らしく、大変おっとりした方です。城が燃えているのを目前にしながら、「(曾祖母の遺体が眠っている)地下室は無事でしょうから」とあっさりしたもの(^^;いやぁ、お嬢は違いますやねぇ(^^;

 しかし、キッドとはどーいう関係なのかは謎のまま。キッドが「謎のままにしておいたほうがいいこともある」というのは、ひょっとしてこのことかも知れません。キッドは彼女のことを知っているけど、彼女はキッドを知らないってとこでしょう。

さすがは劇場版

 昨今、作中にCGがはいるのは珍しくもなんともないのですが、大きな客船が海の上を滑るシーン等、劇場版ならでは、スケールの大きさを印象づけるシーンで効果的に使われているいい例だなぁと思いました。

 ただ、音響・・・・低音効いててよかったんですが、スピーカの位置を意識させてしまうのは一寸失敗かも。(<MOVIXの設備的な問題という説もアリ)

 そして!やっぱり欲しい決めゼリフ。エッグ強奪に成功し、城に火をかけて逃走するスコーピオン。その前にコナンが立ちはだかります。誰何の声に笑みを浮かべて一言。

「江戸川コナン・・・探偵さ」

 ガキの癖してかっこいいぞコナン!しかし防弾ガラスを眼鏡に仕込んでも、ダメージは避け得んと思うぞ(笑)

まとめ!

 劇場版らしい贅沢をちりばめた逸品でござりました。マル。
 劇場版第4作の制作も決定したそうです。いやぁ嬉しい限りですなぁ♪

1999/4/19

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