先日、岩国に所用ありまして欽明路周辺を走ってきました。
実のところ用があったのはうちの末っ子でして、柳はタダの運転手です。のんのんを目的地で下ろして、終わる頃ピックアップしに行くまでの数時間が…忙しい昨今には稀な自由時間という次第。
平生、出不精を画に描いて額縁いれたような柳ですが…こういうときにはモードチェンジ。折角来たんだから普段回れない処をゆっくり回ってみようと思い立ったのでした。
まずはスタンダードに岩国城。ロープウエイで上がってさらに10分ばかりの山道の上にあります。戦後の再建ですが美しいお城です。
ロープウェイに添乗してくれる山口県PR本部長ちょるる
よく見ると縫い取りの糸端がほつれてまして、後から写真を見たのん曰く「口の端から血が出てるみたい」…言われてみりゃそーなんですが、柳にはキミの想像力の方が怖いぞ、のんのん。
蒼穹に映える天守閣
こういうアングル好きですな。
江戸幕府の一国一城令で創建まもなく破却されるという数奇な運命を辿ったお城ですが、結構詳細な図面が残ってたようです。峻険な山上に堀を巡らせ石垣築いてという、ガッツリした戦国の山城という風情。再建に際して城下からしっかり見える位置にずらされています。このため、旧い石垣がすぐ脇に保存されていました。コレはコレで風情。
荒城の緑
夜で月でも出てれば更に柳好みの景色なのですが…流石に加工するのは無理か(笑)
ドラキュラ体質の柳には日傘必須のお日和。開場直後ということで人も少なく、蝉と鳥の声に押し包まれるようでした。
草木に覆われた城
陽が枝葉を透けて落ちる緑陰、この薄闇がドラマの舞台としては絶品♪
城内展示の甲冑
やっぱり人がいなくて空調(といっても扇風機!)の音だけをBGMにご対面すると…超絶に奇っ怪な風情がありますな。コレで突然、背後で「がちゃり」などと音がしようもんなら…わくわく♪
錦帯橋の下からアオリ
旧い石垣の位置から考えると、かなり押し出した感じになっており、再建時の配慮が窺えます。写真映え狙ってんなぁ、などとは…言わぬが華というやつでしょうて。
錦帯橋
子供の時分に渡ったときは、この一段一段がひどく高く感じてしんどかった記憶があります。いや、確かに絶景なんですけどね。
このアングルで「一休さん」を思い出すのは間違いなく昭和世代(笑)
錦帯橋の石組
嘘か本当か知りませんが、架橋工事が難渋し、人柱が埋められた…なんて話を子供の頃に聞かされた記憶が。驚異の建造物にはありがちな逸話とは言え、当時は結構怖かったです。
歩き仕様の靴だったとは言え、暑熱と山登り・川歩きで少々疲れたので此方で一休みさせていただきました。
あんまりガッツリ食べられる腹加減ではなかったのでシリアル入りのパフェとレンコンコロッケ 1をいただきました。次はきっと岩国寿司をいただきに行こうと思っています。
とまあ、ここまでは至極スタンダードな岩国観光。
普段回れない処、といったら…やっぱり資料館の類です。何たって古い城下町ですので、規模は大きくないのですが資料館の類がわんさか!とあるのです。
そのうち制限時間いっぱい使って回ったのが…
このあたりを続けて回ってみると、岩国城、岩国藩の藩主吉川公のお城…という漠然とした理解が、岩国藩そのものが明治元年から三年の廃藩置県までしか存在しなかったという事実や、吉川経幹公が2度にわたる長州征伐で尽力した経緯が、とてもリアルに伝わってきました。徴古館の資料映像は若本規夫さんの渋いナレーションが効いてます!ここの映像を観てから吉川史料館というルートがオススメですな。先に大画面でドキュメンタリーフィルムを観て、次に史料館で関連する文書をナマで見ると「ああ、コレがあのシーンのもとになってるのか!」と肚落ちするわけです。隣国(広島藩)に接し、しかも本家とは疎遠という歴史的な不遇があったがゆえのドラマティックな展開には思わずワクワクしてしまいました。あぁ、誰か小説にしてくれないかな 2!
そして、今回の収穫はなんといってもこれです!
「岩邑怪談録」の資料集&ブックレット
江戸時代の岩国藩内の怪談録を明治期ごろに書き写したとされる本を、岩国徴古館が翻刻 3、原本掲載の挿絵を収録した資料集。ブックレットの方は「岩邑怪談録」の中から20話ほどが原文つきで現代語訳され、原本掲載の挿絵やイラストが加筆収録されています。
以前から欲しかったのですが一般書店には置いていません。岩国徴古館に行くしかなかったので、機会を虎視眈々と狙っていたのでした。あんまり派手な話はないのですが、岩国探訪したあとでコレを読むとなかなかのリアリティ。
夏だし、怪談書きたいですねえ…(<結局そこに落ち着く(笑))