三度目の正直~シンエヴァ観てきました

  新劇やるよ、といってから14年、Qが公開になってから早7年。2020説だってアヤシいなぁと思っていたらまさかのコロナ騒動で6月公開が見送られ、2021の1月公開も見送られて3月。ようやくシンエヴァを観てきました。

 おお、まさに三度目の正直!

 しかし何故に月曜公開ですか。コロナ対策?昔と違って仕事終わってレイト観て午前様、なぁんて体力はなくなってしまった柳1としては、映画のために年次有給休暇という最終カードを切るしかないではないですか!

 で、やりました。その暴挙。
 土日は言いたかありませんが人出が多いだろうし、家のことが忙しいのですよ。観に行くなら今日しかない!と一念発起、危うく流れるとこだったMOVIXの特典チケット使って行ってきました。
 2021年3月9日のことでございました。(映画は逃げない、と公開日にはあまり飛びつかない柳ですが、今回ばかりは…)
 かーちゃんは仕事だよ、とちび共に説明してくれた旦那、済みません…そのかーちゃんは自分から盛大にバラしました。(のんに至ってはその前から薄々感づいてたらしい…我が娘ながら怖ろしい奴)

 150分という破格のボリュームもなんのその。長いという感じは受けませんでしたね。(むしろ上映前のCMが気が挫けそうなほど長い…)観終わったら何か食べるもの買って帰ろうと思っていたのですが、終わってしまうともうお腹いっぱいで何も食べる気がせず…結局そのまま帰りました。

 例によって例の如く…謎のワードが山ほど出てきますがキレイサッパリ解説がありません。ストーリーとして完結したよ、というメッセージは喧しいほど伝わってくるのですが、何がどうなってそうなったという部分は見事におきっぱなしです。入場特典(?)で貰ったアスカちゃん表紙のリーフレット…ものものしく袋入りの上に「ネタバレ注意!」などと書いてあるのでわくわくしながら開けてみたら(一応観終わった後でしたよ?)本編のワンシーンをバックにキーワードがざらっと並んでました。しかし一再解説無し!1500円もする映画パンフも今回それっぽい記述はありません。序破Qのときのパンフはそれなりに解説がついていたような気がするのですが…

 いやソコ、やっぱり要るでしょう用語解説

 リーフレット裏側に曰くありげにQRコードなんかついてるから、藁をも掴む気持ちで追っていったら、(<こういう軽率な行動がウイルス感染の元になるのです。嗚呼、已矣乎やんぬるかな)evaEXTRAとかいう謎のアプリにたどり着いただけでした。
 このevaEXTRA…そう言えば前に聞いたことはあるのですが何ができるか今のところサッパリです。ゲームとかイベントインフォメーションは柳としては然程惹かれるところがないのですが、用語解説が読めるならおカネ払っても良いなぁと思うのですよ。

 いやもお、突っ込み処が多すぎてどこから突っ込んで良いかわからないくらいです。劇場にかかってる間にせめてもう一回ぐらい観に行きたいのですが、先行き不透明なのでとりあえず柳なりにまとめてみました。柳は画像認識について些かひとさまより機能がお粗末ですので、見た、と思ったモノが実は柳の思い違いであることもあります。そこはご容赦いただきたく。

 また、ここを訪れてくださる方は既にご承知のことかと思いますが、柳こと千柳亭春宵は骨の髄までエヴァの呪縛に囚われた人間です。おまけにサイトトップに掲げております通り極めて使徒寄り。おそろしく偏っております。公平な映画評なぞというものでは決してありません。所詮は寝言でございます。
 それをお含み置き頂いた上で、よし付き合ってやろうじゃないかという方、ご用とお急ぎでない方、ネタバレ構わんよ、という方のみここから先へお進みくださいまし。

警告

ネタバレ注意
重度使徒バイアスあり(今更)

千柳亭春宵

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カチコミ艦隊、パリへ殴り込み

 もう昨年になってしまいましたが、先行公開のあった冒頭10分だか12分だかはユーロネルフの跡地からリツコさんたちヴンダーのメンバーが物資を回収するくだりでした。
 凱旋門のど真ん前に黒い柱2が立ってまして、どうやらこれがユーロネルフ付近のL結界3を排除する機能を持った仕組みだったようです。後をお願い、的な血のメッセージが残っていた処をみるとユーロネルフは起動が間に合わずに皆様お亡くなりのようですが(もしくは皆インフィニティとやらになってしまったのか? )今回のヴンダーのミッションはアンチL結界装置を起動させることでユーロネルフの持っていたその物資(エヴァの修理・改造のための部品)をいただくということだったようです。

 部隊名が「カチコミ艦隊」…カチコミって…あのカチコミですか。ヤ▲ザ用語で敵対組織への襲撃、殴り込みを意味するという。相変わらず作戦名とか部隊名のセンスがスバラシイです。考えるのってミサトさんなのかなぁ。
 若いヴィレ構成員を叱り飛ばすマヤちゃん、凜々しいです。
 エッフェル塔に謝りながらたたき折ってネルフのEVAに捻じ込むマリちゃん、相変わらず鼻唄加減なところが素敵でした。
 そんでもって…やっぱりリツコさんがかっこいい!盾にした戦艦が木っ端微塵になって吹っ飛んできても動じず立ってる姿はさすがです。…でも一歩間違ったら死ぬよ?

生きてた!

 まあ何に吃驚したかって、かつてのクラスメイトたちがちゃんとご存命だったことです。前回(Q)真っ赤になった大地を見たシンジ君が、皆死んでしまったと思って身も世もなく慨嘆してましたが…どっこい生きてた!しかもみんな順当に歳とってた!(<当たり前)
 柳としてもQでシンジに着替えとして提供されたトウジの古着は、てっきりクラスメイトたち全員がサードインパクトでお亡くなり…という暗示と思っていたので、突然出てきたおっさんなトウジ&ケンスケには意表を突かれました。
 トーン相変わらずのほっこり母さんになってるヒカリちゃんが可愛かったです。で、トウジとの娘がツバメ…何処までも新幹線4なのですね。
 ケンスケの何でも屋は機械モノには詳しそうだから天職として、トウジの無免許医には更に仰天しました。
 どうやらサードインパクト直前か直後にアンチL結界装置(ユーロネルフ第1号印柱と同じモノと思われます)で僅かに人が生きていけるエリアが確保されていたようです。そこはヴィレの仕事で、その後クレイディトという下部組織が生存者の生活支援をしている模様。ケンスケはその下部組織との連絡役をしているようでした。ふうむ、らしい・・・っちゃらしい・・・ですな。トウジが見様見真似医者をできるのもクレイディトの提供する医療機械があるからという話でした。
 クレイディト…KREDIT、例によってドイツ語とすると「ローン」とか「信用」「借金」「借り入れ」。なんか支援組織の名前としては殺伐としてますな(笑)

加持さん!あなたって人は

 シンジ君の前に、14歳になる加持さんとミサトさんの息子が登場。おおむね、顔が加持さんで髪はミサトさん似ですね。Qでは見事に出番のなかった加持さん、実はサードインパクトに相前後してヴィレをつくったりネルフからヴンダーをかっぱらったり、どうやら無茶苦茶忙しかったはずなのに…そーですか、置き土産(!)はしていったと。

 残念ながら加持さんはサードインパクトを止めるためにお亡くなりだそうです。ケンスケがさらっと語った14年前の事情…ワンカットで語るにゃ複雑すぎましたな。ミサトさんが加持に同行しなかったのはお腹に子供がいたからで、すぐさま対ネルフの闘いに身を投じる為、一生会わない覚悟で生まれた子供を人に預けたと。
 加持さん、あなたって人は!
 ミサトさんみたいないい女になんて悲愴な覚悟をさせるんですか!全体の流れとしては実にいいとこ攫ってカッコよかったかもしれんですが、男としちゃ最低ですぞ!!

 ただ、TV版にしたって自分の興味のままに突き進んで結局落命してますし、挙げ句ミサトさんに「置き土産(情報)」はしたものの「多大な迷惑(共犯を疑われて拘束)」をかけてますから…そうか、あんまり変わり映えはしませんな。
 まあ、その時は他に選択肢がなかったのでしょう。どうにも、傍から見てる分にはカッコいいのに一緒にいても倖せになれそうにない男という典型ですね。何気に間男ですし。

 その一方でラストあたり、回想ともイメージシーンともつかないネルフ司令室の場面。カヲル君からは「リョウちゃん」と呼ばれ(リツコさんの呼び方と同じなのがまた意味深)、さらには「そろそろカヲルって呼んでくれない?」などとタダナラヌ雰囲気を醸しておきながら、頑なにカヲル君を「渚司令」と呼んで敬語で応ずる加持さん。一体何があったんです!
 いや、柳としてましては勘繰り甲斐があって非常に楽しいのですが…。

アスカちゃんの事情

 新劇版では苗字が「式波」となっていたアスカちゃん。どうやら式波アスカ・ラングレーのクローン「シキナミタイプ」のひとりだったということのようです。レイちゃんが綾波ユイのクローン「アヤナミタイプ」であったのと事情は似ているようですが、「能力を制限するために人格(感情)を与えられた」と言ってます。そこら辺が違いなのかも知れませんね。

 でもまあ、スペアがいくらでもいるという状況ではなくて、作中のアスカちゃんは山ほどいるシキナミタイプの中からその能力ゆえに最終的に選抜された完成品という感じでした。何故なら彼女にとってエヴァパイロットというのは能動的に努力し、最後に勝ち得た地位という意識がある。それでレイちゃんから何の脈絡もなく「あなたにはエヴァに乗らない幸せがある」なぁんて言われても面食らうでしょうな。(逆を言えばレイちゃんにはその選択肢がない?)
 それで行くと、オリジナルであった「惣流アスカ」はユーロネルフ所属の研究者のひとり、ということになるのでしょうか。
 第9使徒(三号機に潜ってたアレ)に侵蝕された一件以降、やっぱり使徒との共存状態であったようで…眼帯の下には封印柱が埋め込まれていました。だからトリガーとなるリスクを背負っていると見做され彼女もまたDSSチョーカーを嵌められています。
 第13号機を始末するためにその封印柱を引き抜き、使徒としての力を行使したアスカちゃん。健気でした…(だからこそ、その覚悟を利用しやがった外道親父に余計腹が立つ…)
 とりあえず、「エヴァに乗らない幸せ」を一緒に歩いて行く相手はいるようですし…お幸せに。

リツコさん、真面目だから

 初号機強奪のためヴンダーに乗り込んできた外道親父の顔面に、容赦なく銃弾が撃ち込まれる!最終予告のワンカットで公開されていたこのシーン、ミサトさんが撃ったのかと思っていましたがさにあらず。リツコさんでした。
 しかもまあ、ヴァイザーが粉々になるまで撃ちまくるものだから、すっかり人間辞めちゃった外道親父の顔が皆の前にさらされます。
 いやぁ本当に容赦ない。
「神に衝撃はない」とかなんとか偉そうに言いながら結構仰け反ってる親父を見て密かに溜飲を下げたのは柳だけじゃありますまいて。
 新劇のリツコさんは外道親父に喰われちゃいなかったようですが、人類のためだという言葉を信じてついてきた超真面目なリツコさんにしてみれば、裏切られた事については何も変わりないでしょう。普通なら殺しても飽き足りんというところではないでしょうか。
 しかし、実際に引き金を引き続けるリツコさんは憎しみがどーとかいうレベルをキレイに通り越して、こいつは今絶対に殺しておくべきだという冷静な計算の下に行動している、という印象でした。人間辞めてる外道親父を通常の火薬弾で殺せるかどうかはさておき、ですが…(ポジトロンライフルでも無理かも)

 ヴンダーのパーツからガイウスの槍を作り出す5決定をした時の、ミサトさんとのやりとりなんて柳的には感涙モノです。言いたいことを言い合い、少々の無茶も「こいつならやってくれる」と任せることのできる相棒。信頼できる友人。いいですねえ。

 槍を届けるためにヴンダーと運命を共にするミサトさんに「子供達を頼む」と言われ、四の五の言わずにそれを受け容れる横顔も素敵でした。実直に、「生き残った者が苦労する」パターンだとは思うのですが、それでも黙って引き受ける。この人じゃないとできなかったと思います。

覚悟の人、ミサトさん

 「破」では「色々知っちゃったし、背負っちゃったし…」なぁんて加持相手にクダ巻いてたミサトさん。サードインパクトを止めるためにお亡くなりになったという加持さんまで背負って、重い覚悟でヴンダーを率います。

 司令と副司令が部下を全部放り出して逐電してしまい、しかも敵に回る。信じたものが崩れ去り、更に世界は破滅に向かっている。こんな状況下でも折れないミサトさんは凄いです。
 そして「破」において自分の判断で行かせたシンジ君がニアサードのトリガーとなってしまい、周囲の憎しみを受ける立場になったことで一番苦しんだのは…ミサトさんだったことでしょう。本来なら自分が責められるべきであると感じていたのだと思います。だからこそ、DSSチョーカーを装着させながらそのトリガーは引けなかったし、シンジ君が害されそうになれば庇う。ただまあ、不器用なことは不器用なのでしょうね。「お母さんこれしかあなたにできなかった」という台詞は、実子であるリョウジJr.にあてたものであると同時に、やっぱりシンジ君にも向けられていたと思います。つらい闘いばっかりさせて、この程度のサポートしかできなくて、ごめんねと。

 ネルフとの闘いのため、リョウジJr.を手元に置いて育てられなかった、だから本人には何も伝えずにおく…という決意については賛否両論ありましょうが、それがミサトさんの覚悟の現れだったのでしょう。あの明るさがごっそり削げ落ちてしまうほどつらかったのだと思います。

 しかし…なんで息子にそのまんまリョウジなんでしょう。そこだけ謎です。(名前考える暇さえなかった、とか、めんどくさかったから…ではないと思うのですが)

レイちゃんの謎

 黒波レイちゃんの野良スタイルが可愛かった!というキレた感想はさておき…
 どうやら「碇君といると、ぽかぽかしてくる」通称ポカ波レイちゃんは「破」でシンジ君に引っ張り出されてそのまんま初号機のなかにいたらしいのです。あの伸びまくった髪はそういうコトですよね?じゃあ実直に、黒いプラグスーツ着てがらんどうのネルフ本部でコンテナ住まいをしていた「アヤナミタイプの初期ロット」通称黒波レイちゃんの中にいたのは誰だろう、という話になりはしないでしょうか。
 ネルフの元で管理されていたからLCLの外で活動しても大丈夫だっただけ、魂があるわけじゃなかった(TV版の23話でLCLの中を笑いながらふわふわ浮いていたレイちゃんズと同じ)…というのは、あまりにも哀しい。猫や赤ちゃん、自然のいろいろなものに目をキラキラさせていた黒波レイちゃんの中には、確かに魂があったように思うのです。記憶はやっぱり黒波分しかなさそうですが、味噌汁になにやら感興を催したふうもありましたしね。(「破」で出てきた海洋実験施設で食べたお弁当の中に、シンジが作った味噌汁がありました)
 うーむ、ここも謎。

本題!カヲル君の謎

 すみませんが柳にとっちゃ此処が本題。
 正直な処、回想なりイメージシーンでちらっと出てくれたら良いなぁ…と思ってました。それがまぁ…例によって例の如く、新たな謎を振りまきまくって独り納得して消えてしまう、というスタンスに一ミリもブレがない!

 ブレて良いよ、そこは、すこしくらい…。とりあえず、わかったことといえば…

  1. いろんなシナリオの中を何度でもループしている(とりあえずTV版24話の記憶はアリ)
  2. とりあえずシンジ君を幸せにしたい
  3. 「生命の書」とやらにシンジ君の名を書き加えた

 …って三点だけのような!?

 生命の書って何ですか。結局アダムの魂ってことは変わってないんですか。アダムスの器との関係は?どの時点でループに入るのですか。ループ自体、誰の陰謀?食いも眠りもしなくて良いはずの使徒様が、何故ゼーレの言いなりになってなきゃならなかったんですか。あのずらっと並んだ棺は一体誰の仕事?それでもってなんでいきなりネルフ司令?加持さんとのご関係は?外道親父のクローンって嘘ですよね?(第一似てない!)ラストシーン、宇部新川駅で微笑みかけてたレイちゃんってポカ波?黒波?

 …ぜえぜえ。もう息ぎれがしそうです。

 シンジ君の物語は間違いなく完結してます。ええ、そりゃぁもう完全無欠に。エヴァに乗らない幸せを得て、あとはマリちゃんと幸せになってください。以上。
 でも柳としては、カヲル君の謎がいっかな解けてない。それどころか増えるばかり。結局使徒という存在が何者であったのか、というところが完璧にうっちゃりのように見えるのが気になってしょうがないのです。(あぁ旧劇が終わったとこに戻ってしまった…)12体だという使徒、それを全部片付けたら補完とかって…それは誰と誰の間の契約だったのか?リリスとゼーレ?アダム系統の使徒を殲滅したら補完してやるというなら、なぜリリスは自分自身をカウントするのでしょう。ひょっとして、アダム系だろうがリリス系だろうが使徒なら誰でも良いのか?大体、ゼーレとリリスの契約だというなら当のリリス様がポカ波になって初号機の中でお休みになっている状況で、だれがその契約を履行するのか?

 外道親父が皆の思惑を利用しまくって自分の望みを叶えようとし、最後の一歩手前までそれを実現したのはわかります(最後でこけたけど)。じゃあ本来の人類補完計画って?ミサトさんじゃないですが

「謎は深まるばかりだわ…」

 …と、嘆息したくもなるのですよ。
 上記のような細かいことを飛ばしてしまえば、ラストの駅のシーン…大人になったシンジ君が待っているのとは向かいのホームで、一寸幼いふうのレイちゃん(後ろ姿)に微笑みかけるカヲル君(こっちはあまり変わりばえがしてませんが)のショット…あれだけでもう眼福眼福、お腹いっぱいという感じでございます。ええこの柳、20年来隠れもないRKS(Rei-Kaworu-Sweet)シンパでございますもんで。きっとカヲル君とレイちゃんも「エヴァに乗らない幸せ」を手に入れて、ここから二人幸せに暮らすのねっ!ああっ尊い!ひたすらに尊いなぁ…RKS万歳!

 や、それでもいいんですが。
 物書きとしましては、それじゃやっぱりすっきりしないのです。嗚呼、誰か納得のいく説明というヤツを上げてくれないもんでしょうか。そうじゃないと…

捏造しちゃうぞ!

 …失礼いたしましたぁ。 

 長々と寝言にお付き合いいただき、有り難うございました。
 もう一度観に行けたら、きっと何かまた叫び出すことと思います。

千柳亭春宵 拝