秋の午後 山へ入った。
そこで
目が 眩むような
息が とまるような
朱を
見た
この樹登らば 鬼女となるべし 夕紅葉
学生の頃の話。
現国の授業で読んだこの句が、今も強烈なイメージで残っています。教科書に載るぐらいだから 有名な俳人の句なのでしょうが…今となっては知る由もなし※。
先日、秋を探しにFinePIXとPixel 7aを片手に山に入ったら、いつも竹林としか思っていなかった場所に一本だけ真っ赤な紅葉がありまして、思わず座り込み、時を忘れて撮り続けました。
一面の紅、というわけではありません。緑の竹林の中に一本だけ、火の手が上がったかというような朱。それが少し風の強い曇りがちな空の加減で、燦然と輝く黄金色の波から上品な扇子の上に置かれたような臙脂の一葉まで様々に姿を変えていくのです。
ここを踏み越えたら異界へ行ってしまいそうな…ないしは人でないモノになってしまうのではないかという危惧さえ感じられる程、それはそれは非現実的な光景でありました。
鬼女紅葉、ないし呉葉、更科姫の伝説は、是非とも一度は小説にしてみたい。
…企むだけならタダですな(笑)
※後から思い立ってググッたら、身も蓋もないくらいあっさり情報が出ました。三橋 鷹女という千葉県出身の俳人の句とか。ネット時代の有難き哉。