初蜈蚣

 あったかくなってきたのはいいのですが、あったかくなったらなったでいろいろなモノが出てきます。一番困るのが蜈蚣。百足とも書きますが有り体に言えばムカデ。

 田舎家に住んでいればムカデとの遭遇はほぼ不可避ですが、冬場寒い間は姿が見えません。ところが、先週のこと朝起きて降りた台所…いきなり床を這っておりました。気温が乱高下する昨今、出てきたはいいが寒かったのでしょう。いまひとつ動きが鈍かったので、柳は慌てず騒がず火箸で摘まんで池へ放り込んだのでした。

 うちの池には赤い姉金(ざっと15年くらいは生きてます)とよく育ったハヤが常駐しておりまして、昆虫や節足動物の類が落ちてくると喜んで寄ってきます。それはもう、ピラニアの如き勢いでして、あっという間に食い尽くすのです。

 ハヤたちも心得たもので、キンチョールのようないわゆる殺虫剤で仕留めたムカデには寄ってきません。こちらとしても彼らに食中毒起こされても困りますので、極力薬剤は使用せずに火箸で捕獲するようにしています。少々可哀想な気がしなくもないのですが、ゴのつく昆虫とか他の虫ならいざ知らず、ムカデだけは実害が出ますのでここは譲れません。

 初動を誤らなければ命に別状あるわけではないにしても、咬まれれば結構大変な目に遭います。
 ここで言う初動とは、咬まれた直後の処置です。 
 昔は咬まれるコトも少なかった所為か知らなかったのですが、冷やしては駄目なのですね。咬まれたらとりあえず、傷口を湯洗い。ムカデ毒はタンパク質なので、ある程度の熱で活性をおとすことができるのだそうです。随分と昔の話になりますが、やっぱり咬まれたうちの旦那が虫刺されの薬を塗って冷やしていたら見事に腫れました。これはいかんということになって皮膚科に行きましたら、「冷やしちゃ駄目なんだ!」とえらくオコられたという次第。
 爾来、うちではムカデ咬傷には洗浄+蒸しタオル療法、という手順が確立。いちいち湯を沸かしていては間に合わんということで、水で濡らしたタオルをレンチンして当てることにしています。

 これからあったかくなってくると、毎日一匹ずつムカデを池にご案内せにゃならんという事態が日常化してきます。朝寝惚けて台所をふわふわ歩いていますと、かなりの高率で踏みそうになるんだから困ったもの。

 皆さん、くれぐれも気を付けて……