遅れてきたコロナ騒動

 今更ですが、コロナに罹患しました。
 新型コロナがまだ2類扱い、巷で猛威を振るっていた頃、それこそフルPPE 1でコロナ病棟へ出入りしていた時節はそれなりに用心していたつもりなのですが、最近忙しかったので抵抗力も落ちていたか、見事に食らってしまいました。

 昨今は感染経路不明が当たり前(<要はどこにでもある)なのですが、今回のうちにおける火元はどうやら次男坊。「こないだ、風邪引いてえらいって休んでた人がさー、夕方来てこれだけはしあげなきゃとかって書類仕事やってたんだけど、めっちゃ咳込んでた-」

 1番手次男坊(<就職2年目、早くもいろいろ責任が降ってきて若干お疲れ気味)、2番手は部屋が隣の長男坊(<就職1ヶ月、ストレス満タン)と来て、3番手が柳という次第。柳は職場が職場なので次男坊がPCR+となった段階で「自宅待機72時間」となるわけですが、ああこりゃ自宅待機という名の介護休暇だな、と思っていたら、なんのこたないそのまま病休にスライドというオチがつきました。

 職場ではもっとヤバい環境にしかも長期間晒されて平気だったのに、なんとも呆気ないモノです。本来自宅待機明けに職場でPCRを受ける予定だったのですが、その前日から38.9℃。シバリングばしばしだったので、諦めて自宅で検査キットを使って抗体検査をしました。

 往時はPCR 2がオニのように流行しましたが、PCRは確かに厳密なんだけど厳密すぎて過去の感染の切れっぱしDNAまで拾っちゃう 3ので、蔓延しまくったあとの今となっては、本当に気を付けるべきところをはっきりさせるにはいい手段です。

 こんな奴↑ですね。いわゆる抗原定性検査キットというやつ。鼻腔を綿棒で拭って薬液に浸し、薬液を検査キットに垂らすと白黒つくという便利な代物です 4。ウイルスの持つ特有のタンパクを検出するのだそうで、今起きている症状がターゲットのウイルスの所為なのかどうかを判定する、という意味では大変簡潔でよろしい。昨今はこの検査キットの陽性反応を写真で撮っといて、病休申請の論拠にするらしいです。まあ、莫迦正直に医者に診断書なんて貰ってた日には金銭がかかってしょうがないので、有難いです。

 病休申請といえば、新型インフルが猛威を振るった頃には、やはり診断書代わりに医者で抗インフルエンザ剤を処方された証拠として薬袋を添付するパターンもありました。まあ、薬袋なんて実質医者の名前と医療機関名が入るんですから、「タミフル」だの「リレンザ」だのが書かれた薬袋が存在すれば確かに罹患証明にはなるでしょうね。ただ、コロナの場合タミフルやリレンザみたく「コロナならこれ!」という抗ウイルス薬がまだないらしく(それっぽいモノは開発・実用されていますし、事実入院沙汰になるような重症の場合使用されているはず)、次男坊も長男坊もカロナールだけが処方になっていました。
 コロナの治療は対症療法が基本、という定石はまだ動いていないようですね。

 それにしても、今回はえらかった…
 38.9℃を皮切りに、最高39.1℃、丸二日にわたって37℃後半から39℃前半を行ったり来たり。カロナールで一時的に下がり、薬効切れたらまた上がるというのを繰り返した格好です。流石に脳味噌が煮えるかと思いました。当然何も食えないでほぼ絶食してたら咳込んだ拍子に物凄い心窩部痛。今胃カメラ飲んだらさぞかし面白いモノが視えることでしょう。あぁ考えたくない…

 感染で熱が上がるのはウイルスに対する身体の防御反応ですし、咳は気道内分泌物を排出する大事な機能 5だから、無闇に薬で抑えるのはよろしくない、と考えた柳、なるべく薬は飲まずに行こうと思っていたのですが、頭痛いのと心窩部痛だけは耐えがたく…カロナールと咳止めのお世話になりました。

 さて、ようやく熱も落ち着いたのでこうして駄文を書き散らす余裕が出来たのですが、このまま大人しく幕引きとなりますかどうか。実直に、あと2日で通常業務に戻れる気がしないくらい、身体が弱っています。特に体幹筋。ひとつ間違うと腰を痛めそうです。
 ひとさまのお世話をする前に、自分が平常通り動けないとどうにもなりませんからね。少しずつ、身体を動かすことと致しましょう。

  1. Full personal protective equipment、正確な用語かどうかは不明ですが、ただのマスク+エプロン+手袋などという生易しいモノではなく、N95マスク、ガウン、手袋、キャップ、ゴーグル、シューカバーをつけることをいいます。閉塞感が半端ないし夏場は死ぬほど暑いです。
  2. PCR…Polymerase Chain Reaction、ポリメラーゼ連鎖反応。本義はDNAを複製・増殖させることの筈ですが、現在は遺伝子検査の代名詞。
  3. このため、現在は何回増殖させたら診断がついたか、という値(Ct値)をつけることが多いようです。これが33~35を越えてくると、感染力としては低下あるいはなくなると判断されるとのこと。まあ例外はどこにもあるらしいですが。
  4. 抗原定性検査キット…ここで大切なのは、症状が出て24時間程度経過してないと正確な結果が出ないということ。要はウイルスが身体の中でわきわきしてタンパク質を量産してないとひっかからないという次第。 柳の場合発熱があってから約12時間ほどでトライしたのですが、実は少々早かったらしい。翌朝まで待って職場でPCRを受けるという選択肢もあったのでしょうが、正直起きていることが苦痛なレベルだったのでやむなく。行き帰りの労力考えれば経費でPCRしてもらうより私費で抗原定性キットを買う方を択んだ柳でした。柳は隠れもない守銭奴けちんぼですが、時と場合という一例。
  5. その気になれば極力咳を回避して痰を喀出する方法はあるのです。こちとらそーいうのを指導する立場なんで、こういう時には何とでも♪