西方妖夢譚

西方妖夢譚

夢のあとさき

サーティスとエルンストが龍禅で再会したしばらく後のお話です。まだ愁柳は一服盛られて目を患う前でして、一寸だけ雰囲気が明るかったりします。(しかし元来は結構ライトな御仁なのです。怒らせると怖いですが)一応は「さくっと読める番外編」を目標に書い...
西方妖夢譚

西方妖夢譚Ⅲ

狼が地を蹴る。サーティスは寸前で抜き、狼の右の前足から左肩へまっすぐに斬り上げた。刹那の間隙。直後、白い毛皮が朱に染まる。「…お前か、シルヴィア…!」 先刻、雪の上に打ち倒されたとき、脳裏に閃いた映像。吹雪の雪稜に、佇立する女。髪も、服も、...
西方妖夢譚

西方妖夢譚Ⅱ

『サーティス…貴方、寂しいと思って事があって?』『あるよ。当たり前だろう?私だって人間だ』『そうね、ひとだものね…。ねえ、動物は寂しいなんて思うことはあるのかしら?』 無邪気な問いに、サーティスは笑った。『さあね…獣になったことがないから、...
西方妖夢譚

西方妖夢譚Ⅰ

「サーティス!」 避け損ねたサーティスは積もった雪に背中から叩きつけられた。 さすがに息が停まる。白い牙が左肩の古傷に食い込んで、サーティスは僅かに呻いた。しかしエルンストが投げた短槍が獣の背を掠め、白い狼は肩を放す。すかさずその身体を蹴り...