TOP SECRET

　水辺のコテージ。周囲には緑が溢れ、細流の音だけの静謐に満ちている。

　シェインは、茫漠たる海原の彼方に、かつて摩天楼といわれた建造物のなれの果てが沈黙の中に佇んでいるのを見た。

　地球から出るには、一般人なら軌道エレベーターの優雅な旅、というのが通り相場だ。しかし軍関係者の場合マスドライバー・シャトルでの打ち上げという選択肢があった。

「私を設計したアスティンには今更な話だが、そもそもケイがなぜ支援AIを必要としたかということさ」

「…本当に、月か…」　咄嗟に自分の感覚が信じられなくて、シェインは頭を振った。

「…本当に、月か…」　咄嗟に自分の感覚が信じられなくて、シェインは頭を振った。

　寝室はまだ空だった。マリクはともかく、シェインはおそらくまだ考えごとか調べ物というところだろう。

ケイはごくストレートに途方に暮れていたし、シェインは再び苦虫を噛み潰したような表情でその人物の挙動を観察していた。

　アウレリア＝アルフォードは、応接間のソファに身を落ち着けている横着な客人を眺め遣った。