このお話について、言い訳。
まったくもって突発で書いたお話です。「残照の日々」が終わったとき、柳が「クロエ姐さんがもっと書きたい!」と叫びのたうち回っていたのをご存知のかたもあろうかと思いますが、この8月のこと…池田聡さんの久々のCD「溺れる魚」がリリース、それに収録されていた「星あかりのオール」という曲にビビッときまして…
はい、書いてしまいました。
書いたはいいんですが、正直…隠し部屋送りにしようかと思いました。でも、間借り人に「kiss sceneくらいでオタついてんじゃない!」と莫迦にされまして、このシリーズに含めることにした次第。さすが万夏、こーいうコトには強気です。何なんでしょうこの敗北感。
クロエ姐さんはこの時既に典薬寮頭の地位にありまして、大神官リュドヴィックの命で戦の準備としての医薬品確保のために動いていました。一部は戦費に化けたのでしょうが、いくつかの島に分散して保管することで供給を絶やさないように手配していたのですね。でも、辺境の島に一人でいたのは半分休暇、というのは満更嘘でもありません。
クロエ姐さんは隠れもない反主流派の筆頭。リュドヴィックのやり方にあからさまな反撥を示したりしていたのですが、シェノレスのために働くこと自体を拒否することはない。戦をすることに全面的に賛成してるわけじゃないけど、自分の職務はこなす。そこには当然、相応の葛藤があって、なんだかぐちゃぐちゃしちゃったからすこし頭冷やしてくるわ、とある日突然出奔してしまいます。補佐官であるソランジュちゃんがわたわたする様子が目に見えるようですね。今回はその間のお話。
サーティスは…マキちゃんと旅してるとそこそこ紛れてるけど、まだ自分の中でセレスのことがきちんと解決していない。そんなときに、クロエ姐さんと出会ってしまった訳です。マキちゃんが「サティってば…黒髪でキリッとした女にヨワいんだから…私だって髪、黒いんだけどなー」とかなんとかボヤいてそうです。しかしマキちゃんもクロエ姐さんのことは気に入って、この後サーティス蹴っ飛ばしでシュテス島に着くまで姐さんのあとをついて回ってたというオチがつくのでした。
作中「汀」という言葉が頻出しますが…川・海・湖などの波の打ち寄せる所、要は波打ち際のことです。別の漢字でかくと「渚」。はい、賢明なる読者様には既におわかりですね。このお話の構成上どうしても必要なコトバなんですが、こっちの字を使ってしまうと…なんか話が別の方向へ引っ張られていきそうだったので敢えて今回「汀」の字を使用しています。
柳の頭ん中では、昨今サーティスのCVがすっかり石田彰さんで定着してるので意味ないと言われりゃそうなのですが。 1
そういえばシンエヴァ、アマゾンプライムで配信始まりましたねえ…。
池田聡さんのNew CD「溺れる魚」は素敵です。是非一聴を。
不肖柳、届いたばかりのCDがすり切れそうな勢いで聴いてます。速攻でパソコンに突っ込んだし(書きながらエンドレスで聴くため)、車のミュージックサーバー(通勤時間だって無駄にしない!)にも入れました。 2
「星あかりのオール」は作詞が「濡れた髪のLonely」の松井五郎さんです。「いまさらの恋」「さよならよりもつらい別れ」の作詞家さんですね。しっとりした艶のあるストーリーを感じさせる詞が絶品でございます。その「星あかりー」に触発されたといいながらどーしてこんな話になるのか…あぁ(涙)(ごめんなさい)×n
扉絵はタイトルこそ「月あかりの海」なのですが、実は見る人が見るとすぐに判る加工品。柳の技術ではコレが限界でございます。本当はウミホタルのいる海にでも取材に行きたいとこでしたが、このご時世では如何ともしがたいですね。
千柳亭春宵 拝
2021.9.19