篝火は消えない

篝火は消えない

西方夜話Ⅶ

「…これほど弱いとは思わなかったな…」 サーティスは酒杯を置くと潰れている連れの二人を見遣って吐息した。…だが、これは比較対象が悪いのである。ラースはともかく、エルンストは標準的視点からみれば十分酒豪であった。ただ単に、サーティスの底が抜け...
篝火は消えない

西方夜話Ⅵ

サーティスは結局樹園を出たあたりで追いつき、街はずれの彼の家へ案内した。森を抜けたところで、全くの一軒家である。古ぼけた家であったが、造りはしっかりしているようであった。「…ああ、その辺のものに触られんように。結構物騒なものも混じっています...
篝火は消えない

西方夜話Ⅴ

「殿下!」 妙な不快感―俗に言う、嫌な予感―に、エルンストはやや乱暴に綺翔殿の扉を開けた。「………!」 荒れた室内に、エルンストは血の気が引くのを感じた。 今日に限ってやたら変なのにからまれた理由が分かった。人影はない。ただ、盛大な血の池が...
篝火は消えない

西方夜話Ⅳ

一方、ナルフィもまた、閉じ籠もり気味な毎日を過ごしていた。ラースはこれを案じたが、理由もわからないではどうしようもない。何とはなしに裏手の樹園に出て、吐息しながら漫然と緑を眼に映していた。 ノーアからの知らせによれば、どうやらサマン撃退には...
篝火は消えない

西方夜話Ⅲ

皇宮。「我が国と貴女の国との関係を知っていますか」「…私も、ノーア公女ですから」 ナルフィは、桂鷲に殆どあからさまに非好意的な視線を向けた。「このたびの北方民族サマンの南下で、貴女の国は危機に立たされている。貴女の国を救いうるのは、我が龍禅...
篝火は消えない

西方夜話Ⅱ

────一年前、綺翔殿。桜花が月光を受け、照り映える夜。「………っ!」 隣室からだ。絶息寸前のような咳を耳にしたエルンストは、文字通り跳ね起きた。「殿下ッ!!」 隣室の扉を破りかねない勢いで開けた時、愁柳は酷い咳の発作に苛まれ床に倒れていた...
篝火は消えない

西方夜話Ⅰ

大陸暦八九一年。大陸の西端、龍禅の国。 銀の月が、冴えた光を皇宮の静かな一郭の露台にも投げ掛けていた。 麗妙な胡弓の音が響いてくる。露台で籐椅子にその身を預けた、漆黒の髪の青年が奏でる調べであった。 眼病でも患っているのか、その両眼には白い...
篝火は消えない

西方夜話

本編「篝火は消えない」より数年前。 リオライの姉君・「ノーアの銀姫将軍」ナルフィリアスと「紫電竜王」愁柳の出会いのお話。
篝火は消えない

「篝火は消えない」についての能書き

これは、柳が気が遠くなるほど昔から書き続けている…柳としては最大のストーリーです
篝火は消えない

Novel-1 篝火は消えない

ファンタジーに類すると思われる柳のらいふわーく(<大嘘)