シ者降臨

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Last Scene Monday,11:00a.m.

「そういうわけで、復帰します」  研究室。メンバーに自家製のマドレーヌを振る舞って、榊タカミは一礼した。 「とりあえず進級できることになりました。次年度からはご迷惑をかけないようにしますので、これからもよろしく」  深く事情を知らないメンバ...
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Scene 9  Sunday,11:00p.m.

カヲルはそのままマサキの車でレイを迎えに高階邸へ行く算段であったが、市内に入ったところでそのレイから電話が入った。月曜日はまだ休みだから、今夜は『お泊まり』させて欲しいというのである。  今夜の高階邸はミスズやユカリ、リエもいる。徹夜態勢の...
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Scene 8  Sunday,7:00p.m.

「この時間じゃ、家でユカリが何か用意してたとしても粗方喰い尽くされた後だな。…何か食べて帰るか」  トレッキングコースの入口に停めた車アクセラまで戻って、マサキが腕時計を見遣った。  カヲルは長時間の強行軍にさすがに疲労していた。結局、丸一...
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Scene 7  Sunday,5:00 p.m.

その男は、シーズンオフで閉鎖されている観光船の浮桟橋の先まで行って…座り込んでいた。  刻一刻と暮色を強くする湖の水面は凪いでいる。  立ち入りを制限するためのロープを超え、浮桟橋に足をかけながら、マサキは徐に口を開いた。 「俺はな、カヲル...
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Scene 6  Sunday,2:45 p.m.

古風な洋館は、梅の季節を終えようとしていた。桃と、早咲きの桜が蕾を綻ばせている。  レイは、朝から高階邸へ来てユカリのアシスタントとして動き回っていた。今日、ユカリが定例の掃除に入ると聞いたので手伝いに来たのである。ユカリには「えー、いーの...
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Scene 5  Sunday,11:00 a.m.

「第3新東京のすぐ近くに…こんな場所があるなんて知らなかった」  山稜は昼近いというのに薄靄に包まれている。周囲を見廻しても靄と山しか見えず、先程まで見えていた筈のビル群が幻だったかのような印象さえ与えた。 「本来、『来たるべき戦い』とやら...
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Scene 4  Sunday,0:10 a.m.

「…まだ、起きてたんだ?」  仄暗いリビング。扉が開いたままの書斎には煌々と灯がついていたから、明かりが落とされているとはいっても闇というわけではない。だから、タカミが書斎から洩れる灯を背にソファに身を預けているのはカヲルにもすぐに判った。...
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Scene 3  Saturday,4:30 p.m.

夕刻の4時半といえば既に黄昏時だが、よく晴れているからまだ十分に明るい。とりあえず今日の課題を終了させて研修棟を出たタカミは、夕焼け空を仰いで軽く伸びをした。 「レポートは終わったし…あとは明日の11時に冬月教授の口頭試問で終わりかぁ…日曜...
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Scene 2  Saturday,1:15 p.m.

マサキが出て行ったあと暫くして、タカミは昼食もそこそこに2つのレポート提出と1教科の口頭試問のために大学へ行った。  そうして、カヲルは比較的のんびりと陽当たりのよいリビングでレイの勉強の進捗具合を見ていたのだった。  そんな時、インターフ...
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Scene 1  Saturday,11:30 a.m.

「…どうしたの…」  そう言いかけて、碇シンジは、自分の見たものが信じられなくて思わず立ち尽くした。  受験シーズン真っ最中の中学3年生である。基本的には、受験を控えて家で自習しているか、すべきことは全て終わってしまい諦観と同居しつつ首を洗...