後書きというもおこがましい駄文

precious day

 「すべて世はこともなし」「楽園に寧日なし」の続編、「always and forever」これにて全編のお終いでございます。
 なんたって「always and foreverいつも、そしていつまでも」ですよ。レイちゃんとカヲルくんのほっこりなお話も勿論書きたかったのですが、「御使~」では見事告白コクる直前に力尽きてしまった気の毒なタカミくんに、「すべて世は~」のシリーズでは是非チャンスを作ってあげねば!と気張ってみた結果がこれでございます。
 ああ済まないタカミくん。これだから柳は間借人にさえ出し抜かれるのだよ…。(柳的にはあれが精一杯でした、はい)1

always and forever

 主タイトル「always and forever」は、池田聡さんのベストアルバムのタイトルからの頂きです。「always and forever 」というタイトルだったのに、何故か後続が出ていない。うう、何故なのでしょう。それともローマ数字のⅠではなく、I/my/meのIだったのでしょうか。Always and foreverいつも、そしていつまでも,I…わたしは…と何か動詞が続くんだったりとか? 気になる気になる…というので今回のネタになったという訳ではありません。念のため。
 「Always and forever,I’ll be by your side. 」だったりしたら、柳的にはばっちり嵌まるんですけどね。(<まだ言うか)
 それと、今回のコンセプトのもう一つは「スピーディなお話」だったので、2日間ぐらいでさくさくと進行するお話に挑戦してみました。それで章タイトルはやっぱり池田さんのアルバムタイトル「Saturday,11:30 a.m.」から、時間経過でずらっと並べてみた次第。お話として本当にスピーディになったかというと…それはまた別ということで(汗)
 ちなみに池田さんの曲に「Saturday,11:30 a.m.」というのがあるわけではなくて、アルバム「Saturday,11:30 a.m.」のラストに「幸福 ~11:30 a.m. mix~」が収録されています。
 池田さんの曲はどれも素敵ですが、特に「幸福」は
「幸福は結末よりも/途中の景色がすてきだと/いつかきっと/思えるのだろう」
とか
「上手に愛せない僕を/赦して欲しい」
とか
「傷つけたり抱きしめたり/迷ってばかりさ」
とか…

 いやもぉ、柳的に完全無欠パーフェクトコンプリートカヲレイSONGなのです。是非一度お聴きになってみてくださいませ。(<すみません過労でテンションおかしいです)

外道親父の後始末


 動機はさておき、今回のストーリーとしては「外道親父の後始末が済んでなかった」「リツコさんの権利回復」の2本立てでした。

 まずはそのうちの「外道親父の後始末」について。
 ゲンドウ自身がイヤな奴であったこともさることながら、柳自身の根底に父親という存在に対して不信感というか嫌悪感のよーなものがあった所為か(昨今だいぶ改善されてきた気がしますが)、基本的にウチのサイトではゲンドウけちょんけちょんです。

 「御使~」ではひたすらただの迷惑親父であったため、ターミナルドグマごと宇宙の彼方へ転送されてしまいましたが…今回はもう少し真面目にこの迷惑親父の後始末をしてみようと思った次第。ま、20年も経ってますしね。
 真面目に後始末、という割に結構非道くないか、2という話なのですが…ま、改心していい人になるプロットが似合う御仁でもありませんからね。確かに可哀想な人なんだけど、釣りもこないくらいの乱暴狼藉を働いたのでは仕方ありません。カヲルくんに看取ってもらえただけ、これでも破格の扱いです。「御使~」の時には、誰にも一顧だにされなかったんですから。

リツコさんの権利回復

 メインストーリーのもう片方、リツコさんの扱いについて。
 ネルフを追放されていたとはいえ、かなり深いところまで関わっていたとしてネルフ解体後も国から監視される身分。ユイさんにしてみれば、自分が出奔したばっかりにリツコさんの未来を台無しにしてしまったという負い目があって、なんとかしてあげたいと思っていたのですが、そんな矢先にどっかの国がリツコさんを引き抜きにかかってるらしいという情報をキャッチ。
 ユイさんはそのほうがリツコさんが思いきり研究を続けられるなら、とも思ったようですが、調べていくうちにどうやらどこかの国、というより旧ネルフ第2(ドイツ)支部がごそごそやってるらしい。
 ドイツ支部といえばタカミくんがゼーレをぶっ潰して出奔したとき3に降参してヴィレの管理下に入っていたのですが、夏の件でイロウルに唆されてこっそりSerial-03の再起動なんかやっちゃって後がない。4うーんなんだかきな臭いんだけど、このままこの国にリツコさんを飼い殺させるくらいなら…とも考えていたようです。でも、よくよく考えたらもっといい方法があるじゃないか、ということでサキに話を振ったのでした。

 ユイさんの思惑は大当たりで、面倒なドイツ支部は再起不能なくらいの大ダメージをくらうし、国にリツコさんの価値を認めさせてもっと自由に研究させてあげられる環境を整えてあげることもできました。

 しかしその一方で、ユイさんもまたダメージをくう運命にあったのでした(<前項参照)。合掌。ただ、おそらくユイさんは心のどこかである程度覚悟をしていたのではないかと思われます。

高階夫妻について


 書き始めるとキリなさそうな高階夫妻について。
 碇ゲンドウが外道親父なら、こちらはひたすらあったかいお父さん・高階マサユキ氏。ちょっとおっとりしたところはあるけど優秀な医学者で、一時期ゼーレに関わりを持っていたために研究所暮らしだったサキ達を知ることになります。戦後になって再会した彼らを丸ごと連れ帰り、日本での生活を与えました。
 「高階マサキ」は書類上いろいろ辻褄を合わせるためにでっち上げた高階夫妻の実子としての戸籍です。サキはそれに合わせるべく自身の外見もすこしずつ変化させたよーなことを言ってますが、サキ自身が高階博士を心から尊敬して「こういう人になれるといいな」と思ってた結果、なーんとなく似てきたというのが真相だったりします。
「斯く在りたいと思う者の形質に似てくる。…似せられたのは姿だけってのが、あのひとには非常に申し訳ないがね」5
 その奥さんがブリジット・オーレリア=サーキス。実は英国貴族に連なる御方で、ユイさんばりの女傑でしたが…根はおおらかな御仁だったようです(おおらかというより豪快なのか?)。サキがユイさんに対して微妙にヨワいのはサキが高階夫人ブリジット・オーレリアみたいなタイプには逆らえない所為だろ、というのはネフィリム達の共通認識だったりします。「楽園~」にもそんな話、すこしだけ出ましたね。

 もっと言えば、高階夫人が自分の娘として名を与えたミサヲちゃんも同類項なので、サキはミサヲちゃんにもヨワい、というのは周知の事実。あと、イサナ言うところのサキが「スイッチ切れる」のはミサヲちゃんが傍にいるときだけ…とかいうのも、ばれるところには大バレという次第。
「オンとオフがはっきりしてるのは確かだな。スイッチ切れてるときはそうでもないぞ」
 だから、ミサヲちゃんを拠点確保のためとはいえひとりで欧州に行かせてるのは…サキってば絶対無理してるよねー、などという話題がミスズちゃんたちのガールズトークで花開いたりするわけです。まあ、実際にはそれほど無理もしてなくて…暇を作ってはミサヲちゃんのところに転がり込んでひたすら寝こけてたりするのですが。6

使徒連中について 再び

 端的に申し上げて、やりたい放題でございます。
 スナイパーチーム(ミスズ、ユウキ、ナオキ)は相変わらず無茶してますし、クラッシャーコンビ(タケル、タカヒロ)は臨時雇いの用務員やりつつ実は好き勝手。リエ姐はすっかり職業ハッカーと化してます。おまけに女教皇ハイ・プリーステス?そんなもん初期プロットにはなかったぞコラ! 自分とかつて同調シンクロしていた人工知能を正面から恐喝したタカミくんなぞ言うに及ばず。そこで怯んでんじゃないぞイロウル。あんたプログラムなんだから、いくらでも複製して逃げ延びられるだろ、というツッコミは…この際無意味なんでしょうねえ。

 今回、勉強をかねて足立照嘉さんの「サイバー犯罪入門 -国もマネーも乗っ取られる衝撃の現実-」という本を読んでみました。大変面白かったし、怖いお話でした。興味のある方はご一読を。

御礼申し上げます


 書きたいものを気の赴くままに…のんびり寄り道しつつ、これからもいろんなお話が書いていきたいなと思っています。どれだけ書けるか、いつまで書けるかは天のみぞ知るところですが。
 斯様にのんべんだらりなHPにお付き合いくださる方々に心より御礼申し上げます。
 それから…とうとう、Urbanからの撤退が決まりました。
 20年腰を据えてきたサーバですし、相応に愛着もあるのですが…なにせADSL回線はツラい。NTTに「今すぐ光ファイバー回線契約してやるから引いてこい」と言い続けるのにも疲れまして、とうとう見切りをつけることになりました。
 それというのもとうとうこの山の中までCATVが進出してきたのです。TVのほうはスカパーもあるし正直どっち向いても構わないのですが、なんたって光ファイバーケーブルですよ。少なくともWindowsがアップデートし損ねてハングアップするという莫迦ばかしい状況からは解放される筈7です。しかしまあ、そうなるとプロバイダーとしてのUrbanは必要なくなる訳で…かくて、撤退という選択に至ったのでした。

 あ、でもページは閉めませんよ?

 加入予定のCATVはHP用サーバなんか提供してくれませんが、目下、手頃なサーバを物色中です。昔はプロバイダーといえばHP用のサーバをつけてくれるのが当たり前でしたが、昨今はそうでもないようで。まあ、これだけブログだのフェイスブックだのが普及してしまうと、個人でサーバ確保して、HTMLタグ打ちでHPつくるなんてのは珍しいんでしょうね。(<一応、自覚はある…)

 秋ごろを目標に移転を計画しています。メールアドレスも変更になります。無論HPアドレスも。しばらく平行で維持したあと、契約解除とともにUrbanのページを閉めることになると思います。さ、忙しーぞ(^^♪

 今後とも、のんびりおつきあいいただけると幸いです。

2018.3.26

2019.2.5追記

…移転を決意してほぼ一年が経ちました。新サーバ、新しいサイトのかたちも落ち着いて、ようやくNovel-3 もこれですべての長編をアップロード出来たと思います。

 その間にこつこつと続編も書いておりまして、こちらもどうやらアップロードの目処がつきました。本当はNovel-1「篝火は消えない」のリライトを進めていたのですが、主人公連中の性格がおそろしくヘヴィなのに疲れてしまって(<やっぱり書いた当時の精神状況が影響するんでしょうか)、やっぱり「すべて世はこともなし」シリーズへ寄り道。

 今度はいままで脇に回ってきた面々に主役に回ってもらおうかなと(笑)さっくり読めるショートストーリーを目指したはずが、気づいたら原稿用紙換算で60枚overというシロモノになっておりました。やっぱり使徒連中、書いてて楽しいです。

 そういうわけで次回「Angel’s Nestへようこそ」

 皆様、これからもおつきあいの程、よろしくお願いいたします。

  1. タカミ君が告白するシーン(Scene8ラスト)、これでもWordPress版として再アップロードするときにかなり加筆修正はしています。一年経って読み返した時「う、コレではなんにも大事なこと言ってない!」と奮起したのですが…つくづく、色っぽくなりませんね。
  2. 実はこの部分もWordPress版として再アップロードする際に加筆修正が入って非道さに若干拍車かかってます。外道親父をそれほど丁寧に描写したかったわけではないのですが、これも一年経って読み返すと…描写するには躊躇われる部分でも、ぼやかしすぎると何がおこったか判らないよね、という反省に至ったのでした。
  3. すべて世はこともなし 第4話~第5話、当時MAGIのインターフェイスAIと同調していたタカミ君は自身を囮にしてゼーレのメンバーを生かし続けていたシステムをハッキング、機能を掌握。その後経済機構としてのゼーレだけを存続させていました。
  4. 「楽園に寧日なし」参照。タカミ君と分離したAIがキール議長の名をかたって回収されていたダミーシステムの核(カヲル君の複製体)を再起動し、タカミ君に喧嘩を仕掛けた一件。結局和解、現在は協力関係。イロウルという名前もタカミ君が便宜的につけたらしいが、ミサヲちゃんからは「名前のセンスにはめぐまれてない」と酷評されている… 
  5. 楽園に寧日なし Scene 6 Stay the night forever 参照
  6. 楽園に寧日なし Last Scene 楽園に寧日なし  参照
  7. ところがどっこい、柳のメインマシンの型式が旧くてアップデートに対応しきれなくなり、ついにはクラッシュしたというオチがつきました。2018年11月のことです(「シャレにならない」)。復旧および新マシンセットアップに多大なご協力いただいた旦那、ありがとう!