今更SLAYERS③


今更SLAYERS
「竜を滅する者」に関する柳の言い訳

はい、こんどこそ獣神官寄りです

 前回いきなり言い訳で始まってしまいましたが、今回はゼロスサイドのお話です。時間経過としては《1》とほぼ平行で、しかも同じ場面を別の視点から、という構成にしております。
なんだか獣王様の雰囲気が「呪文」のときと違うぞ、という指摘はおありかと思いますが、結局一時資料を読んだらこうなってしまいました。しかしゼロス、「呪文」のときより輪がかかった猫っぷり。思いっきり可愛がられているけど扱き使われる、とっても不思議な立場です。要するにゼラス様にしてみれば、「出来のいい息子」なのではないかと。身内だから扱き使うに遠慮がないけど、とても大切。この関係についても、おいおいと触れることになるとは思うのですが、とりあえずは隻腕の黄金竜ことミルガズィアさんとの関わりについて。
原作13巻「降魔への道標」でミルガズィアさんの腕をもいだのがゼロスらしい、という話(くどいようですが直接的な記述は何一つないのです。でも状況を総合するとどーやらそうなる)から勝手にビビッときた、という話は前回しました。しかし、もがれたほうのミルガズィアさんはともかくとして、雲霞のごとく押し寄せる竜族軍を力任せに薙ぎ払ったほうのゼロスが、そのうちのひとりを憶えてる訳はないだろうと思うのです。少なくとも正々堂々一騎打ち!という状況ではありえなかったのは確かですから。(<むしろそんな状況になろうもんなら、今頃ミルさんは命ないぞ・・・多分)
しかし、実際「NEXT」でリナ一行がミルガズィアさんに会ったとき、ゼロスはあっさりと識別してます。原作にいたっては「上のかた」で「ミルガズィアさん」と名指し(!)しています(<しかも、「実直なかたですよ」というコメントつき)。ということは、おそらく降魔戦争より後、ゼロスのほうでミルさんを認識する機会があったはず。ただし、ミルさんの「降魔戦争以来」という台詞から、直接会うことはなかったという推論が成り立ちます。
それじゃ、一体何があったのか。考えると・・・やっぱりこれしかないでしょう。異界黙示録。
ミルさんが異界黙示録に関わっていた、しかもそこから取り出した情報で武器製造までやっていたと事実と、「NEXT」にでてきた砂の神殿にある、読めない記録。あれを考えると、砂の神殿自体、おそらく竜たちの峰にあったような異界黙示録への出入り口が封印された姿で、しかもそんなことする理由があるのは竜族ぐらいのもんだろう、と思ったのです。
砂の神殿に関しては、異界黙示録の写本を燃やして回っていたゼロスの仕事、という理屈も成り立たなくはないですが・・・どうにもリナ達を案内した時の様子からするに違うようですし、どうも写本はともかく異界黙示録本体には関わらないという魔族の姿勢にもそぐわない・・・第一、話が面白くないので却下!(<われながらすごい基準)
結局、ゼロスのほうがミルさんのことを覚えていた理由としては・・・とことん莫迦ばっかりと思っていた黄金竜の中にもなかなか面白いのがいるな、くらいの認識だったのではないかと思うのです。ゼロスの行動原理って、ゼラス様の命令を除けば概ね「面白いかそうでないか」のようですから。愉しみに水をさされると同じ魔族だろうが遠慮なくぶちのめす御仁ですからね(<第15巻の某ブラドゥみたく)。
まあ、そうは言ってもせいぜいが「殺さないでいてやったら、何か面白いことをやってくれるかもしれない」程度のものでしょう。完全無欠の上から目線です。「理性では判っているが、いざツラを見たら勝てない喧嘩でも売ってしまうかもしれない」というミルさんとはだいぶ事情が異なると思います(<いや、結局売ってませんが)。
そして、アクアばーちゃん。砂の神殿でリナたちがばーちゃんに出会ったとき、変だなーとは思いつつすぐに正体に思い至らなかったところを見ると、ゼロスはあの姿を見たことはなかったと思われます。リナたちを守るために力を行使したときにようやく気がつくくらいですから。でも、異界黙示録の本体が水竜王の残留思念である、という確認はしてるわけですから、おそらくこんなところではないかなと。アクアばーちゃんの言動から察するに、水竜王さまも結構面白い御仁のようですし、もうちょっと活躍してほしいところですね。・・・幽霊だけど(<残留思念ってことは、つまり・・・)。

 さて、ミルさんが「“顔をあわせるのは”降魔戦争以来」とわざわざ断っているところをみると、多分ミルさんのほうでもゼロスの暗躍を察知する機会があったものと思われます。次回はそのお話。・・・・になる予定。

 それでは皆様、今後もどうぞお見捨てなく…

2011.9.17