篝火メインストーリー

篝火メインストーリー

陽光消ゆ Ⅲ

夕刻のような曇天の下、一触即発の空気が満ちていた。 つい先程、王都の森の中で落雷でもしたかというような轟音が鳴り響いた。その正体を確かめるべく、随所で衛兵隊のみならず貴族の私兵団の伝令が駆け回っている。そんな中で王都に入ったリオライは、サー...
篝火メインストーリー

陽光消ゆ Ⅱ

「リオライ様ぁ――――――っ!!」 薄明の王都北面。王都守備隊の検問を通過したリオライの一行は、不吉な茜色の朝焼けの空の下、王城の方向に騎影を見た。「ユアスか!」 リオライが手綱を引く。果たしてその騎手は彼が王都へ先発させた部下の一人、ユア...
篝火メインストーリー

陽光消ゆ Ⅰ

少女は、物心ついた頃からその邸にいた。 周囲には乳母や教師など世話をしてくれる大人の姿はあったが、父親なり母親なりの話を聞くことはなかった。ただ、『お館様』といわれる絶対的な主人が存在し、自分が此処で養われていることはその『お館様』の意向で...
篝火メインストーリー

陽光消ゆ

「願わくば…私が詔書を紙屑にしないよう振る舞えるといいのだけれど」王太子アリエルはその言葉を成就させる。陽光消ゆ。アリエルの覚悟を背負い、リオライは宰相と対峙した。
獅子帰還

獅子帰還 Ⅳ

ツァーリとノーアを隔てる大山脈ギルセンティア。それを縦断する街道上にあるカウールの関。ここでひとまず彼は足を止めた。情報収集をするためである。前もってリオライが放った部下からの情報が、使い鳥たちによって続々と集まってくるのだ。 胸中に燠おき...
獅子帰還

獅子帰還 Ⅲ

リオライは結局その後もサマンが蠢動する季節はノーアに身を置いた。その間対サマンの戦で実戦経験を積み、ノーアの将としての名を確固たるものにしていく。そして、そうでない時期はナステューカにいた。 アリエルはリオライがナステューカにいる間はリオラ...
獅子帰還

獅子帰還 Ⅱ

ツァーリの王都・ナステューカの中央部は鬱蒼たる森におおわれている。ゆえに「緑砦」と呼びならわされてきた。 叛乱勃発より十数年前。国王に嫁するため、一人の姫が南の国シェノレスから連れてこられた。男児を産み、「緑砦」の中に館を与えられたが、数年...
獅子帰還

獅子帰還 Ⅰ

辺りは、いまだ冬の女神シアルナの白い袖に覆われている。早春の陽光はまだ弱い。だが、雪渓はその僅かな光を受けて燦然と輝き、眩しくさえあった。 その只中に、二人の人影がある。二人ともノーアの衣装に身を包んでいたが、ノーアでは稀とされる黒髪であっ...
篝火メインストーリー

獅子帰還

ノーアで育った宰相家の後継・リオライと、シェノレス出身の妃を母に持つ異例の王太子アリエル。二人は出会うことでそれぞれの進むべき道を見つける
篝火は消えない

篝火は消えない Ⅴ

崖下に繋がれていた小舟が、明け始めた空と海の間に滑り出る。 それまで押し黙っていたレオンが、絞り出すように呟いた。「俺にはわからないよ。・・・何故、何が待ち受けているか目に見えてる王城なんかへ戻って行くのか。 そうまでして護らなきゃならない...